日本では「これからの研究課題」と慎重姿勢
実は、同様の研究が2015年2月26日付の米医学誌「ニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」(電子版)にも発表されている。研究をまとめたのは英国ロンドン大学。論文によると、研究チームは、幼児の時からピーナッツを食べる習慣があるイスラエルのユダヤ人の子どもが、そういう習慣がない英国のユダヤ人の子どもより、ピーナッツアレルギーになる確率が約10分の1であることに注目、次の方法でアレルギーについて調べた。
(1)すでに湿疹などを起こし、今後ピーナッツアレルギーになる可能性が高いが、まだ発症していない生後4~11か月の乳児640人を対象に、ピーナッツを食べさせるグループと、食べさせないグループの2つに分けた。
(2)そして、5歳になった時点でピーナッツアレルギーの有無を比較した。すると、早い時期に食べた子は食べなかった子に比べ、アレルギーの発症リスクが約80%低かった。早くからピーナッツに慣れさせておくといいわけだ。
この論文は、世界の専門医に衝撃を与えた。2015年6月10日、日本アレルギー学会など世界のアレルギー関連学会10団体が緊急の共同声明を発表、「生後4~11か月の早い時期にピーナッツを食べ始めることを推奨する」という暫定的な手引書を紹介した。ただし、日本アレルギー学会はこの声明文の翻訳の注釈(2015年6月10日付)の中で、「アトピー性皮膚炎がある場合は......ピーナッツアレルギーの発症リスクが高まるとの報告もある」として、「我が国で離乳早期にピーナッツを積極的に摂取すべきかどうかは、これからの研究課題」と付記し、まだ慎重な姿勢だ。