絶望に光が差し込むかのような試合終了間際のシュートだった。応援に駆け付けていたサポーターらが喜びを爆発させたが、最も嬉しかったのは「解任論」も出ていたハリルホジッチ監督だったかもしれない。
サッカー日本代表は2018年ロシア・ワールドカップ(W杯)出場をかけたアジア最終予選、イラクとの第3戦を2016年10月6日、ホーム(埼玉スタジアム)で戦い、2対1で勝利。勝たなければW杯出場がかなり厳しくなるこの一戦、チームを救ったのは途中出場のMF山口蛍だった。
後半アディショナルタイムに劇的勝ち越しゴール
日本は前半26分、FW原口元気のゴールで先制するも、その後追加点を決めきれず、逆に後半15分にフリーキックから失点を許してしまう。
早い時間で先制しながら追いつかれる――。逆転負けした9月1日のUAE戦をフラッシュバックさせる試合展開に、嫌なムードが漂う。後半30分過ぎからは日本選手の足が止まり出し、イラクにいいように攻められる場面が増え始めた。
このまま引き分けかと思われた後半アディショナルタイムだった。パワープレーで最前線に置かれたDF吉田麻也が、ロングボールを競って左サイドへ。セカンドボールを自ら取りに行ったところで倒されてフリーキックを獲得。MF清武弘嗣がゴール前に蹴り込んだクロスボールは、一度はクリアされたものの、そのこぼれ球を山口がダイレクトで一閃。ミドルシュートはイラクのゴールネットを揺らした。この瞬間、ベンチを含む日本選手がピッチになだれ込み、喜びを爆発させた。残る数分を守りきり、日本は2対1で勝利を収めた。
チームを救ったゴールは、テレビの前で固唾を飲んで見守っていた日本のサポーターの心も、大きく揺さぶったようだ。ツイッターでは
「1人で家で叫んでました笑」
「サッカー点入った瞬間、いろんな家からいぇーい、ふぉー!的な声がめっちゃきこえたw」
「両親は1階でサッカーみてて、私2階でゴロゴロウトウトしてたのにゴールの瞬間の叫び声うるさすぎて起きた」
「友達とサッカーテレビ観戦で 決勝ゴールにて家の中爆音が駆け巡りました」
「最後まで諦めたらあかんね!」
と、興奮して大声で叫んだという投稿が相次いだ。