衆院東京10区補欠選挙(2016年10月11日告示、23日投開票)をめぐり、東京都の小池百合子都知事と自民党が急接近している。自民党の公認を受けて出馬する若狭勝衆院議員=東京比例=は7月の衆院選で党の方針に反して小池氏を応援したが、口頭での厳重注意にとどまっていた。
だが、同様に小池氏を支援した自民党所属の区議7人には離党勧告処分がくだっている。この7人は離党に応じなければ除名される見通しだ。小池・若狭両氏は「ダブルスタンダード」とも言える状態を問題視。一方、党都連会長でもある下村博文幹事長代行は「(処分は)補選を通じて、終わってから考えたい」と、軟化とも取れる発言をしている。
小池氏、「7人の侍」を「しっかりと守っていきたい」
都知事選の若狭氏の行動については、自民党の二階俊博幹事長が9月6日、若狭氏を呼んで厳重注意の処分にとどめた。補選を視野に処分を軽くしたわけだ。一方で、東京都連は豊島区と練馬区の区議7人を離党勧告処分にすることを9月16日に決定。10月30日までに離党しなければ除名するという厳しい内容だ。
小池・若狭両氏は都連の方針に反発。自民党側が態度を軟化させるか注目されていた。小池氏は9月23日の会見で、7人を「7人の侍」と呼び、
「私にしっかりついてきた彼らのことを、しっかりと守っていきたい、これは私の責任だと思っております」
と述べた。自民党は27日に若狭氏を公認。若狭氏は同日中にブログを更新し、
「私は仮に補欠選挙において当選できたとしても、7人の区議が除名処分となるのであれば、自民党の衆議院議員にあり続けることは、私の人生観、正義感に照らし、そして政治家としても、到底できないところです。その場合には私も離党せざるを得ません」
と、党をけん制した。さすがに党側はこれに反発し、党都連会長でもある下村博文幹事長代行は翌28日、若狭氏を口頭で厳重注意している。
補選で若狭氏勝てば処分が軽くなる?
そんな中で10月6日昼に実現したのが小池氏と二階氏の会談だ。会談に同席した下村氏が報道陣に明かしたところによると、二階氏が補欠選挙での協力を要請したのに対して、小池氏は「自分が選対本部長になったつもりで先頭に立つ」などと快諾したという。
補選の結果が判明するのは10月23日で、区議7人への離党勧告が求めている離党の期限はその1週間後の10月30日。こういったことを背景に、下村氏は
「補選を通して、終わってから考えたい」
と述べた。補選で若狭氏が勝利すれば7人への処分が軽くなる可能性を示唆したとも言える。
例年は1月に行われる自民党の党大会が17年は3月に行われることから、17年1月にも衆院解散・総選挙があるとの観測が強まっている。衆院選候補にとって小池氏が応援に入るかは大きな違いだ。こういった点を踏まえて、自民党としては小池氏との敵対関係を避けたい考えもありそうだ。
東京10区と福岡6区の補選をめぐっては、民進、共産、生活、社民の野党4党が10月5日に開いた幹事長・書記局長会談で、共産党が公認していた候補者を取り下げて民進党の候補者に一本化することで合意している。