「過去に棋士の不正が発覚したことはありません」
ファクスの中では、棋士から寄せられた「時代の流れ・ソフトの進歩で規制はやむを得ず」「速やかな実施を」などの意見も紹介していた。また、連盟広報担当者によれば、
「気分転換をしたいなどの理由から、外出の禁止に反対する意見はいくつかありました。ですが、電子機器の持ち込みに対する反対意見はほとんどありませんでした」
という。
こうした棋士側からの要望だけではなく、インターネット上に出ていた根拠不明の「噂」も、不正防止の規定導入を後押ししたようだ。コンピュータの将棋ソフトの性能向上にあわせる形で、ツイッターやネット掲示板では以前から、
「離席回数が異常に多い棋士は疑っちゃう」
「××(編集部伏字、棋士名)は●●(編集部伏字)タイトル戦で確実にやっていたはず」
「誘惑に負ける人がいてもおかしくない」
などと「カンニング」を疑う声が数多く出ていた。実際、上述の担当者も「そうした噂については、把握しています」と話す。その上で、
「実際のところ、過去に棋士の不正が発覚したことはありません。今回の規制については、棋士の不正行為を防ぐとともに、そうした疑惑を一掃することも狙いとなります」
と説明。あくまで「予防策」である点を強調していた。