神戸市のバス運転手の男(33)が当時中学3年生だった女子生徒に、顔にだ液を垂らしてもらい2000円を支払った疑いで2016年10月3日、逮捕された。
県の青少年愛護条例には「青少年からだ液を買い受けてはならない」とする条項がありそれに違反した。ネット上では「こんな条例は知らない」と話題になっているが、東京都では10年以上前から存在する。いったいどういう経緯で制定されたのか。
「ピンポイントで禁止してるのもすごい」
J-CASTニュースが10月4日、兵庫県警飾磨署に取材したところ、事件のあらましはこんな具合だった。男は2月23日、スマートフォンのアプリで知り合った少女を勤務中に明石市内のバス会社休憩所に呼び出し、顔にだ液を垂らしてもらい、お礼に2000円を支払った。
事件の発見の経緯は、児童買春を摘発するためのサイバーパトロール中にこの少女のネット上のやり取りが不健全であることを掴んだ。少女に事情を聞き、指導する中で出てきたのが「だ液垂らし」の案件だった。飾磨署は逮捕状を取り所内の調べに対し男は、
「唾に興味があった」
と状況を説明し、容疑を認めた。J-CASTニュースが同署に取材した15時30分時点で釈放されていた。罰金刑になるのではないか、と同署では話していた。
ネット上では今回の事件について、
「そんな禁止事項まであんのかよwww」
「ピンポイントで禁止してるのもすごい」
などと話題になっている。兵庫県の「青少年愛護条例」を見ると、第21条の2に、
「何人も、青少年から使用済み下着等(青少年が一度着用した下着又は青少年のだ液、ふん尿若しくは体毛をいい、青少年がこれらに該当すると称する物を含む。以下同じ。)を買い受け、若しくは使用済み下着等の売却の委託を受け、又は青少年に使用済み下着等の売却の相手方を紹介してはならない」
と確かに記載されている。
東京都は「だ液売買禁止」が2004年に制定されている
県の企画県民部青少年課にJ-CASTニュースが話を聞いたところ、改正によって制定されたのは06年4月と10年も前の事だった。制定理由について担当者は、
「東京や大阪といった首都圏で、青少年のこうしたものの売買の規制が強化された結果、業者が行き場を求めて兵庫県に入ってくるようになりました。その対策として制定することになったのです」
と説明した。東京都の「青少年の健全な育成に関する条例」には兵庫県とほぼ同じ文言で条例が書かれている。制定されたのは04年3月31日で兵庫県より2年早い。担当者に話を聞くと、当時は「生セラ」というショップが流行し、もともとは客の目の前で下着を脱ぎ販売する形態だったが、それがだ液、糞尿まで商売の対象になったため、全面的に禁止にしようとしこうした条例を制定した、ということだった。
各県の「青少年愛護条例」には「生セラ」に関する禁止事項はあるが、だ液、糞尿の売買にまで言及しているのは神奈川県、埼玉県といった首都圏が中心になっているという。