日本人は清潔意識が高くて風呂好きなせいか、子どもを毎日入浴させる家庭が多いが、米国の医学界では子どもを毎日入浴させ清潔にし過ぎると、免疫機能が失われ、弱い子に育ってしまうという考えのようだ。
米国皮膚科学会は2016年9月12日、「6~11歳の子どもは週に2~3回の入浴で十分」とする保護者向けのアドバイスを学会機関誌「American Academy of Dermatology」に発表した。
泥んこ遊びや海で泳いだ場合は「例外」
同誌に掲載された「どのくらいの頻度で風呂に入れるべきか」という報告では、6~11歳までの子どもと、12歳~思春期の子どもに分け、アドバイスしている。6~11歳までは「毎日風呂に入れる必要はなく、一般的に週に2~3回入浴すればよい。また、洗髪も週に1~2回でよい」という。ただし、次のような場合は入浴させてもよい。
(1)泥んこ遊びをしたりして汚れている場合。
(2)プールや湖、海などで泳いだ後。
(3)汗をかいたり、体臭がきつかったりする時。
(4)皮膚病の治療を受けており、清潔にする必要がある時。
一方、12歳以上の思春期になると、次のように「毎日入浴させるべきだ」という。
(1)毎日シャワーか湯船に浸かって入浴する。
(2)脂分や汚れを取るため、1日に2回朝夕にシャンプー類を使って洗顔する。
(3)シャンプーを使う洗髪を毎日か一日置きに行なう。
肌を清潔にし過ぎると体の免疫力が落ちる
いったい、なぜ12歳を境に入浴する頻度を分ける必要があるのか。同学会の認定医ロバート・シドベリー医師は、こう説明している。
「6~11歳は体の免疫力を高める時期です。健康な体でも様々な細菌が肌に存在しています。自分の体がこれらの細菌を撃退する方法を学びながら、免疫力を高めていきます。肌を清潔にし過ぎると細菌が少なくなり、免疫力を高める機会が失われます。一方、思春期になると体の新陳代謝が活発になり、不潔な成分が肌にたまりやすくなるので、むしろ清潔にする方がよいのです」