象牙取引をめぐって世界が日本に向けるまなざしが厳しくなりそうだ。南アフリカ・ヨハネスブルクで開催されているワシントン条約締約国会議の委員会は2016年10月2日(現地時間)、各国に対して象牙の国内市場を閉鎖するように求める決議案を全会一致で採択した。10月4日にも行われる全体会合でも可決される可能性が高い。
決議に法的拘束力はないが、各国は実施状況の報告を求められることになる見通しで、日本に対する風当たりが強まる可能性がある。日本で加工される象牙の8割が印鑑だという調査結果もあるが、どういった影響が出そうか。
輸入は禁止されているのに象牙の「登録」は増え続ける
すでにアフリカゾウの象牙の輸出入は、1990年以降原則として禁止されている。その後は、1997年と2007年に自然死した個体などから集められた象牙の輸入が例外的に認められただけだ。そのため、新たに象牙製品が出回るとすれば、禁止前に輸入された象牙が加工されて出回っている可能性が高いとみられている。
環境省の2016年夏の報告書などによると、1981年から89年にかけて約2006トンの「全形保持象牙」が輸入された。その後、全形保持象牙の登録制度が始まり、1995年から15年にかけて登録された象牙の累積重量は約305トン。近年も登録数が増えているといい、「過去に合法に持ち込まれた象牙の登録が増加したものと考えられる」と推測している。