【女の相談室】「つわり」の苦しみが流産を防ぐ 「健康な赤ちゃんのため」は本当

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吐き気が胎児に悪い食べ物を避けている

   この考え方は、最近、欧米に広まっている「ダーウィン医学」(進化医学)にもとづいているとみられる。従来の医学では「無病息災」の健康体が望ましいとされ、発病すると症状を緩和する治療を行なってきた。しかし、ダーウィン医学では、病気も人間が長い進化の過程で獲得した「体質」だから、体にとってマイナス面だけではなく、何かプラス面があるはずだと考える。つわりも、お産の進化の歴史で獲得した症状だから、ちゃんと意味がある。ただ妊婦を苦しめる役割しかないのなら、とっくに人類は滅びているというわけだ。

   その「つわりのメリット」について、栃内新・北海道大学教授(生物学)は著書『進化から見た病気 「ダーウィン医学」のすすめ』(講談社)の中でこう説明している(要約抜粋)。

「難産を乗り越え、安全な出産の確率を増やすために進化した性質の1つがつわりだ。つわりは妊婦が妊娠初期に特定の食べ物やニオイに対して吐き気を感じる症状だ。実は、つわりを引き起こす食物の中には、胎児の奇形の原因となる可能性を持った物質が多く含まれている。つわりがひどい期間は、胎児に奇形が発生しやすい妊娠3か月頃と重なる。つわりが妊婦を、胎児にとって一番危険な時期に、原因物質から遠ざけてくれているわけだ」
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