「迷惑かけないよう気配りを」に「健康被害の問題だ」
JTはリリースの中で、受動喫煙の疾病リスクについて多くの疫学研究が行われているが、リスクが上昇するという結果と、上昇するとは言えないという結果の両方が出ており、「科学的に説得力のある形で結論付けられていないものと認識しています」との見解を出した。
厚生労働省研究班が2016年5月31日、受動喫煙が原因で死亡する人が国内で年間約1万5000人と発表した際にも、社長名によるリリースで同じ内容を示していた。
これについて国立がん研は今回、「米国公衆衛生総監報告書は、2006年に受動喫煙と肺がんとの関連ついて『科学的証拠は、因果関係を推定するのに十分である』と判定している」と、複数の研究結果をもとに反発。さらにJTが受動喫煙を「周囲の方々、特にたばこを吸われない方々にとっては迷惑なものとなることがある」「周囲の方々への気配り、思いやりを示していただけるよう、たばこを吸われる方々にお願いしています」と述べたのに対し、「受動喫煙は『迷惑』や『気配り、思いやり』の問題ではなく、『健康被害』『他者危害』の問題である」と厳しく指摘している。
受動喫煙と肺がんの関係については、例えば日本医師会がウェブサイト「知っておきたいがん検診」の中で、「受動喫煙によっても、肺がんのリスクは1.2~2倍に増加します。非喫煙者でも肺がんの原因として決して見過ごすことは出来ません」としている。
JTと国立がん研の議論はツイッター上でも関心が高く、多くの関連ツイートが寄せられていた。それらを見ると、たばこの煙そのものを嫌う人は多いようだが、「迷惑という問題ではなく、健康被害の問題」という国立がん研の主張について賛同する人や、「吸う吸わないの自由」と切り離して考えるべきという人、神経質になり過ぎるのもどうかと考える人、それぞれだ。今後、JTからの「再反論」が出るかが注目される。