「マンガの神様」として知られる故・手塚治虫さんの画風で描かれた、人気ボーカロイド「初音ミク」の公式イラストが2016年9月30日に発表され、ツイッターなどで反響を呼んでいる。仕掛けたのは、「手塚プロ」だ。
漫画やアニメの草創期を支えてきた手塚治虫さんと、2007年に発売された合成音声ソフトのキャラクターの「初音ミク」。全く接点がなさそうな両者を結びつけたのは、16年5月5日に亡くなった作曲家の冨田勲(いさお)さんだ。
手塚アニメの音楽を手がけていた
シンセサイザーを使った電子音楽の第一人者として、前衛的な楽曲で知られる冨田さん。実は、作曲家としてデビューした当初は「ジャングル大帝」や「リボンの騎士」など、多くの手塚アニメの音楽を手がけていた。そんな冨田さんは晩年、初音ミクをソリストに迎えたオーケストラ作品の制作に力を注いでいた。
こうした「縁」で、手塚プロと、初音ミクの権利元であるクリプトン・フューチャーメディアのコラボが決定。11月に行われる冨田さんの追悼公演「冨田勲×初音ミク『ドクターコッペリウス』」のために、手塚プロが「手塚治虫タッチの初音ミク」のイラストを2枚描き下ろしたのだ。
丸くデフォルメされた足やスカートをはじめ、手塚さんが描く女性キャラクターの「特徴」を盛り込んだ形で描かれた初音ミク。その姿に、「世界観にマッチしていて違和感がない」「すごく手塚作品っぽい」といった好意的な意見が、ツイッターをはじめインターネット上に相次いだ。