帝王切開で生んだ感激の直後「次、がんの摘出です」
さっそく十数人のスタッフが協議し、カオリさんの治療方針と支援体制を決めた。がんの大きさは3.7センチ、かなり進行していた。転移を防ぐため抗がん剤が欠かせないが、妊娠14週までは胎児に影響があるため、15~30週目の15週間に投与。海外のデータを参考に、より安全な薬剤を使った。32週目以降は分娩期に入るため、抗がん剤投与はやめた。
カオリさん「15週目から抗がん剤治療に入った時、スタッフの方々が『生まれてきたらこうだね』と楽しみな話ばかりしてくれるのが大きかった」
がんは転移せずに小さくなり、胎児の成長も順調だったので、37週目の臨月に帝王切開で無事2300グラムの赤ちゃんが生まれた。カオリさんは「生まれてくれた! よかった! ウルッときました」と喜んだのもつかのま、「一瞬、赤ちゃんを見た後、『次、がんの摘出に行きます』って感じ」で、すぐさま外科医による乳がん切除の手術室に直行した。
この素早い医師団の連携により、現在、カオリさんの乳がんも順調に回復、薬の服用もなく、経過観察の状態だ。