日本には「埋もれた先端技術」多い ヘルシーな衣食住をめざすシンポで紹介

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   人類が地球と共存しうる社会をめざすという未来健康共生社会研究会 (渥美和彦会長) のユニークなシンポジウムが東京大学で開かれた。主催は渥美和彦記念財団。

   「ヘルシー衣料」「ヘルシー食料」など5つの専門分科会代表委員が2016年9月16日で、基本的な方向を講演し、意見交換をした。

  • 東京大学でシンポジウムが開かれた
    東京大学でシンポジウムが開かれた
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米国で研究費を申請

   高齢者のための高機能衣料開発を強調したのは田村照子・文化学園大学名誉教授。たとえば熱中症対策。皮膚の温感はひざ下から足を筆頭に鈍化し、寒暖を正確に判断できなくなっており、予防衣料が必要だ。また、欧米では施設入居者のおしゃれや化粧は生き甲斐で、健康上、日本も見習うべきだろう、と。

   中村丁次・神奈川県立保健福祉大学長は健康食品類への過信を戒めた。食品が健康寿命の鍵を握っているのは事実で、介護の原因は、過剰栄養と低栄養が各3割、食生活の中身が2割で、それぞれの改善が急務だ。食品中の活性物質約5000のうち500は健康に関係し、そのうち40は不足すると欠乏症で死亡するため栄養物質と認められている。ただし、赤ワインを飲まないために死ぬことがないように健康食品類は欠乏症がなく、効果は不確実なのが現実だ。

   ロボット工学研究が専門の「新技術医療」分科会の生田幸士・東京大学先端科学技術研究センター教授は、ヘルシー社会に目を向けていない日本の研究評価法の改善が緊急の課題、と指摘した。「日本は先端研究には投資しない国」で、世界に先駆けた研究は日本では評価されないため、米国で研究費を申請したり、発表しているのが現状だ。

   たとえば、最近、手術の名手を真似た手術ロボットが人気があるが、生田さんらはずっと以前に微小の隙間からミミズのように深部の臓器に侵入して手術できる遠隔マイクロ手術ロボットを開発した。しかし、評価も医療界からの要請もなく、埋もれた技術のままだ。細胞内で光エネルギーで動くロボットハンド、再生医療用の人工毛細血管など埋もれた技術は多い。

   同研究会は、超高齢化社会や予防医療、災害への備えなどに対応した新健康・医療産業をめざして研究を進めていくという。

(医療ジャーナリスト・田辺功)

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