東京都の小池百合子知事が任命した東京五輪・パラリンピックの調査チームが、新設予定の3施設の計画の見直しを提言したことを受け、組織委員会や政府から反発の声が相次いでいる。
だが、小池氏は「提言を重く受け止めている」として引き続き見直しを検討する。2024年の夏季大会に一度は立候補した都市が、財政や環境問題に端を発した「市民、国民からの反発」を理由に続々と撤退している例も紹介しながら、「だからこそ総合的に考えて判断していきたい」と強調した。
東京都以外への移設や既存施設の改修での対応を提言
小池知事がメンバーを任命した都政改革本部のオリパラ調査チームが2016年9月29日に発表した調査報告書では、
「今のままでは、開催総費用は3兆円を超える可能性がある」
として、都が建設することになっている7つの新規恒久施設のうち、海の森水上競技場(ボート、カヌー<スプリント>)、アクアティクスセンター(水泳<競泳、飛込、シンクロナイズドスイミング>)、有明アリーナ(バレーボール)の3施設について東京都以外への移設や既存施設の改修で対応すべきだと提言している。
小池知事は9月30日の定例会見で、
「大変、提言については重く受け止めている」
として、その理由を
「それは結局、都民の皆様方に負担をお願いしないといけない、その1点だから」
と説明。各競技団体から反発が広がっていることについては、
「私自身競技の協会に携わって、さまざまな流れについては存じ上げているつもりだ。皆さんびっくりなさったことかと思う。各団体については」
などと理解を求めたが、大会組織委員会の森喜朗会長や政府については言及しなかった。
その上で、3施設について
「総合的に判断を下していきたいと思っている」
と述べた。