豊洲新市場の問題で、小池百合子東京都知事は、移転の判断については、盛り土がしていなかったことではなく、地下水のモニタリング結果を見て判断することを2016年9月30日の定例記者会見で明らかにした。
8回目の地下水モニタリング調査結果でベンゼンなどが環境基準をわずかに上回ったことが29日に都から発表され、小池知事は会見で、「私も報告に驚いた」と明かした。
移転、撤回の判断時期を示さず
この調査では、定点観測している井戸201か所のうち、青果棟の街区から2か所でベンゼンが、1か所でヒ素が基準を超えて検出された。地下空間のたまり水からは基準超のベンゼンなどは出ていないが、地下水だとされたことから、たまれば基準超が検出されることもありえるわけだ。
小池知事は30日の会見で、この結果も念頭に置いてか、「安心・安全の観点からは、地下水のモニタリング調査は十分ではない」と指摘し、移転を延期した理由について次のように強調した。
「地下に空間があった、盛り土がされていなかったことではなくて、(2014年11月から始まった)2年間のモニタリングをしっかり終えて、1月に出てくる(9回目の)結果を見ないと、安心・安全ではない」
報道陣から9回目以降も地下水モニタリングを続けるのかと聞かれると、小池知事は、「結論を言えば、今後も2年間のモニタリングは継続する」と答えた。
とすると、一体いつ移転するのか、あるいは移転を撤回することになるのか。このことを記者から問われると、小池知事は、都政改革本部の市場問題プロジェクトチームなどでの議論を踏まえ、総合的に判断したいと述べるに留まった。
ただ、小池百合子知事は、移転問題をどうするかについて、「ゼロリスクはない。国民が敏感に感じ取るので、きっちり説明しないといけない」とも会見で明かした。これが移転を決断するのか、撤回を意味するのかは、はっきりしない。