増えすぎた「アカミミガメ」(ミドリガメ)を「食べて」駆除するという驚がくの方法が、インターネットで話題だ。
環境省によると、ミドリガメは2015年3月に「生態系被害防止外来種リスト」の「緊急対策外来種」に位置付けられ、野外に生息するミドリガメの数は、北海道と南西諸島を除く全国に推計で約800万匹(16年4月)もいるという。
小さいうちはカワイイけれど・・・
神社のお祭りなどでよく見かける「ミドリガメ」。ペットショップなどでも500円ほどで売られているが、兵庫県明石市環境部は「小さい(幼体の)うちはカワイイのでしょうが、大きく(成体に)なると飼いきれなくなって河川や池に捨ててしまうケースが少なくないようです」とみている。
ミドリガメは米国東南部が原産地。成長すると、大きなもので20~30センチメートル前後(重さ約2.5キログラム)で、在来種のニホンイシガメ(1キログラム前後)より大型になる。
環境省によると、1950年後半から幼体(体長約5センチメートル)をペットとして輸入。1990年代半ばの輸入量は年間100万匹だったが、ここ数年は10万匹程度で推移し、2014年には10万匹を割った。約110万世帯で約180万匹が飼育されている(13年度)という。
野外に生息するミドリガメは関東平野や濃尾平野、大阪平野、瀬戸内などを中心に多く、魚や水生昆虫、甲殻類、水草などを食べる雑食性のうえ、意外と凶暴なので、生態系への被害を及ぼすことが懸念されている。なかには、レンコン畑でレンコンの新芽が食い荒らされるなどの農作物被害の報告もある。
そんな増えすぎたミドリガメの駆除に、環境省は2015年7月に「アカミミガメ対策推進プロジェクト」を発足。兵庫県は愛知県とともに、16年度から3年間の「モデル事業」として指定された、先進的な取り組みを進めている地域だ。
なかでも明石市は2011年度から、市民からの通報を受けてミドリガメの駆除に乗り出している。13年には家で飼育できなくなったミドリカメを市民が持ち込む「カメポスト」と、連絡すれば市職員がカメを引き取る「カメダイヤル」を設置した。
明石市によると、駆除したミドリガメは2013年度に谷八木川水系で2019匹、14年度には瀬戸川水系で2872匹、15年度は赤根川水系で1137匹にのぼる。野外にどれほどのミドリガメが生息するかは把握できていないものの、「全体的には減っているとは思います」という。
ただ、「河川ごとに駆除しているため、いったんは減るのですが、駆除しないとまた増えてしまいます」と、なかなか駆除しきれないようだ。
レトルトカレーのお味は?
さらに、兵庫県明石市では「明石クリーンセンター」に増えすぎたミドリガメを保管するプールを用意した。長さ9メートル、幅5メートル、深さ40~60センチメートルで、甲羅干しできる空間もあり、約1000匹を保管できる。将来的には、駆除して保管したミドリガメをたい肥化、農業用として地域に還元する考えだ。
そうしたなか、話題になっているのが「ミドリカメを食べて減らそう」という取り組み。兵庫県芦屋市で、世界の珍しい料理をレトルト食品にして製造・販売している「世界のごちそう博物館」が、ミドリガメの脚の付け根の肉を具材として使ったレトルトカレー、「赤耳亀のケイジャンカレー」(1袋200グラム、税込750円)を2016年7月に発売した。
具材には他にタマネギやオクラ、トマトなどを利用。オレガノや黒こしょうなどの香辛料を使って、やや辛口でスパイシーな味に仕上げた。ミドリガメの原産地、米国南部の郷土料理「ガンボ」をイメージしたという。
発売後の反応は良好だが、「たくさん作れるものではないので...」と、開発した本山尚義さん(50)はいう。カレーに使うミドリガメの肉は、1800グラム前後の大きさのものから100グラムほど。「腹筋や背筋がないので、使える部位が4本の脚の付け根しかないんです」と話し、現状では2日に100パック作るのが精いっぱいのようだ。
「食べて害を及ぼすことはありませんが、技術が必要なので一般家庭で調理するのは難しいですね。ただ、食べることで生態系を維持できるのであれば、そうしたいと考えています」(本山さん)
ミドリガメを「食べて減らす」ことについて、明石市は「食材にするには手間がかかると聞いていますので、やはりコストに見合うかどうか... そこがクリアできれば考えていきたいですね」と話した。
インターネットには、
「誰か、食べてみたのかな...」
「子どもの頃、ミドリガメ買っているヤツ、結構いたような... オレも飼ってたけどw」
「辛くて、肉の味なんかわからないってことかw?」
「とんでもない数いるぞwww食っても食っても減らんわ」
などといった声が寄せられている。