武道必修化なのに教員が「受け身」すら経験なし
体育の授業では、2012年度から中学校で男女とも「武道(柔道・剣道・相撲のいずれか1つ)」が必修化されたが、柔道は部活動中の事故が頻発していた。そのため、必修化にあたり文部科学省も、全都道府県に授業での柔道の安全管理を徹底するよう12年3月9日付で通知していた。
前出の内田准教授が、自身の主宰するウェブサイト「学校リスク研究所」で公表している調査データによると、01~10年度に起きた中学部活動中の死亡事故は、生徒10万人あたり柔道は最多の2.385人。これに次ぐバスケットボールが0.382人、サッカーが0.362人であるのと比較すると突出している。
全日本柔道連盟・医科学委員会の二村雄次副委員長は、12年2月6日に放送された「クローズアップ現代」(NHK)で、武道必修化を前に行われた教員向けの講習会に参加した際、「柔道経験のある方は僅か。受け身も練習したことないという先生方がいらっしゃる」「この方々がまもなく直接、生徒に柔道を指導するなんてとても無理だ」と感じたと述べていた。