新党大地の鈴木宗男代表(68)は2016年9月28日、東京・有楽町の日本外国特派員協会で会見し、2016年11月と12月に相次いで予定されている日ロ首脳会談で、安倍晋三首相が北方領土問題について「大きな決断」をし、プーチン大統領も「必ず答えてくれる」との見方を語った。
鈴木氏は「平和条約 『4島帰属』前提とせず」と報じた読売新聞の記事の確度も高く評価し、いわゆる「2島先行返還」で事態が前進することを念頭に置いていることを示唆した。
安倍首相と8か月間で6回にわたって会談
安倍首相は9月2日にロシア極東のウラジオストクでプーチン大統領と会談したばかり。これに加えて、11月19、20 日にペルーのリマで行われるアジア太平洋経済協力(APEC)首脳会合でも顔を会わせ、12月15日に来日するプーチン大統領と安倍首相の地元・山口県でも会談が予定されている。
鈴木氏は北海道出身の政治家として、北方領土問題も含めてロシア関係の人脈に強い。安倍首相とは15年12月末から16年8月末にかけて6回にわたって会談しているほか、9月27日に都内で行われた鈴木氏と長女の鈴木貴子衆院議員のパーティーには、安倍首相も参加するなど、頻繁に顔を会わせる関係で、北方領土問題でも意見交換をしているとみられている。鈴木氏は
「今、大事な時期なので、安倍総理の足を引っ張るような、中身の話は避けさせていただきたい」
と会談の中身については明言を避けたものの、北方領土問題について、かなり突っ込んだ意見交換をしていることをうかがわせる会見だった。鈴木氏は会見の中で、16年11月と12月の首脳会談について
「必ず安倍総理は、日本の総理として、国益の観点から、北方領土問題は『このラインで進めていきたい、解決していきたい。是非とも大統領、ご理解いただきたい』という、大きな決断をしてくれるし、なされるものだと信じている。安倍総理の提案に、プーチン大統領は必ず答えてくれるものだと思っている」
として、安倍首相がロシア側に何らかの提案をするとの見方を示した。その上で、安倍首相が「この北方領土問題を解決して、ロシアと平和条約を結ぶのが日本の国益に資するというお考えを持っていると思っている」とも話した。
読売記事「それなりに裏付けをとっての報道と受け止める」
鈴木氏が念頭に置いている安倍首相の「提案」の内容は必ずしも明らかではないが、読売新聞が9月23日の1面トップで報じた記事がひとつのヒントになりそうだ。記事は、
「北方領 2島返還が最低限 政府、対露交渉で条件」
「平和条約 『4島帰属』前提とせず」
の見出しで、
「政府は、ロシアとの北方領土問題の交渉で、歯舞群島、色丹島の2島引き渡しを最低条件とする方針を固めた。平和条約締結の際、択捉、国後両島を含めた『4島の帰属』問題の解決を前提としない方向で検討している」
などと伝えている。この記事について、鈴木氏はブログで、
「天下の読売さんの記事なので、それなりに裏付けをとっての報道と受け止める時、安倍総理への期待が高まるものである」
などと肯定的に受け止めていた。
ただ、菅義偉官房長官は9月23日午前の会見で
「まったく、そうした報道のような事実はない。これは明確に断言をしておきます。政府としては、4島の帰属の問題を解決して平和条約を締結する、その基本方針は変わっていない」
などと報道内容を否定している。