インターネット上で物議を醸した鹿児島県志布志市の「うなぎ擬人化」動画が海外メディアに続々と取り上げられている。
2016年9月27日(現地時間)の英一般紙「ガーディアン」電子版記事では、動画に対して「性差別」「変態」といった批判がSNS上で相次ぎ、市が配信停止を余儀なくされたと解説している。
BBC、AFPにガーディアンも
問題となった動画「UNAKO」は、志布志市への「ふるさと納税」の返礼品である「養殖うなぎ」をPRするものとして21日に公開された。
水着姿の少女が語り手の男性に向かって「養って」と話しかけ、そこからプールでの奇妙な生活がスタートする。最後に少女がうなぎを擬人化したものであることが明かされるが、ネット上では公開直後から物議を醸し、「女性差別的だ」「少女監禁事件を連想する」との批判が相次いだ。25日にはJ-CASTニュースでも、「水着少女をプールで飼育... 志布志市『うなぎ養殖』擬人動画が波紋」とのタイトルで記事を掲載し、大きな反響があった。
これを受け、市は26日中に動画を削除。公式サイト上では「志布志の天然水でうなぎを大切に育てていること、栄養や休息を十分に与えてストレスのかからない環境で大切に育てていることをお伝えしたかった」と意図を説明しつつ、「視聴者の皆様に不愉快な思いをさせてしまいました」と謝罪した。
しかしネット上ではその後もコピー動画が出回り続けるなど、騒動は未だ収束しない。
27日(現地時間)には、英ガーディアン紙が「少女が肥育されうなぎに変わって料理される日本の広告が削除された」とのタイトルをつけ、同動画に「性差別的」「変態」といった批判が寄せられたことを報じた。フランスのAFP通信や英公共放送BBC(電子版記事)でも騒動を取り上げている。
批判が上がることは「予期していなかった」
市担当者は28日、J-CASTニュースの取材に「現在も多くのご意見が電話で寄せられている。ほとんどが市外の方で、1日50件程度あります」と話した。公式動画のコピーが拡散していることについてはすでに把握しており、「現在対策を協議している段階」だという。
地方自治体のPR動画としては良くも悪くも異例の注目を集めることとなったわけだが、同担当者は、あくまで「こうした批判が上がることは予期していませんでした」と説明する。
現時点で動画の表現が「性差別的だった」との認識を持っているか尋ねると「性差別的な受け止め方をされた、ということを受けて『不愉快な思いをさせてしまった』と謝罪しました。配慮が足りなかったと感じております」とした。
ガーディアンの記事では、日本でここ最近起きた「性差別騒動」も紹介している。三重県志摩市公認の萌えキャラ「碧志摩メグ」の騒動や、滋賀県栗東市教育委員会が作成したチラシをめぐる住民訴訟、H.I.S.と「東大美女図鑑」のコラボ企画問題を例に挙げ、いずれもネット上で抗議キャンペーンが起きたと指摘している。
BBCでも今回と同様の騒動として、少女を乳牛に見立てて物議を醸した乳飲料製品のCM動画についても言及している。