兵庫県南あわじ市(淡路島)の観光会社が企画した「美人コンテスト」の途中結果が、「予想外すぎる」とインターネット上で話題になっている。2016年9月27日夕現在、ダントツの得票数で首位をひた走っているのが――「76歳のおばあちゃん」だというのだ。
コンテストは、淡路島の特産品であるタマネギをPRする美女を選ぶ投票企画。「タマネギを切りながら涙を流す女性の美しさを競う」内容で、ウェブ投票数とグッズの販売個数の合計で優勝者を決める。優勝者の「泣き顔」は、淡路島タマネギの新ブランドのパッケージにも採用される予定だ。
2位にトリプルスコアの「大差」
今回のコンテストを企画したのは、島内で道の駅などを運営する「うずのくに南あわじ」だ。同社は、15年からタマネギを用いて島の魅力を発信する『おっタマげ!淡路島』キャンペーンを展開。UFOキャッチャーの景品をタマネギにした「たまねぎキャッチャー」などユニークな施策で注目を集めてきた。
そんな同キャンペーンの第5弾として16年7月9日に応募エントリーの受付が始まったのが、「タマ泣き美人コンテスト」と題した投票コンテストだ。事前CMに地元出身の女優・宮地真緒さんを起用するなど、力を入れた告知を展開していた。
コンテストには島内外から34人の応募があり、その中から書類選考を通過した6人の女性が本選へ進出。9月1日から30日まで、ウェブ投票と候補者のブロマイド写真が付いたグッズの販売個数を競う最終投票に臨んでいる。
ノミネートされたのは10~20代の「美女」が中心。サイト上には、地元の高校生やOLをはじめ、見目麗しい女性の「泣き顔」が並んでいる。また、各候補者の紹介ページでは、淡路島の夕日をバックにタマネギを切りながら涙を流すPR動画も公開されている。
こうした候補者の中で、ネット上でダントツの人気を集めているのが濱口文子さん(76)だ。地元のタマネギ農家のおばあちゃんで、紹介ページに掲載された自己紹介文には、
「私は何十年も前からタマネギを作って来ました。これからは息子達が何時迄も元気で末長くタマネギを作り続けてくれる事を心より願っております」
といった言葉が躍る。27日18時現在で、ウェブ投票数は2万9516票。2位の女子大生にトリプルスコアの大差がついている状況だ。
「まさかまさか、優勝だけはしないだろうと...」
ネット上でも濱口さんの「美人コンテスト優勝」を後押しする動きが出ているようで、ツイッターやネット掲示板には、
「本気で生産者に1位になってほしい」
「ばあちゃんすげぇーな。応援しておこう」
「ばあちゃんが一番いい涙だった」
といった書き込みが相次いでいる。なかには、「地元で作ってる人以上にタマ泣き美人と言える人はいない」「玉ねぎ農家だし、バックグラウンドも相応しい」などと濱口さんへ投票する理由を「力説」するネットユーザーも数多く出ていた。
こうした途中結果について、「うずのくに南あわじ」取締役の金山宏樹さん(33)は27日のJ-CASTニュースの取材に対し、「全く予想していなかった事態です」と驚きを語る。グッズの販売個数も、同日現在は濱口さんが1位になっているという。
そもそも、なぜ美人コンテストに76歳のおばあちゃんをノミネートしたのか聞くと、
「淡路島のタマネギの魅力を発信するのが企画の趣旨ですので、どうしても地元の農家さんを候補者に入れたかったんです。まさかまさか、優勝だけはしないだろうと思っていたんですが...」
と話す。ネット上で投票を呼び掛ける動きが出ていることについては、「それだけ話題になっているということで、いい動きじゃないでしょうか」として、特に問題視はしていないという。
また、ネットで熱狂的な支持を集める濱口さんについての「裏話」を金山さんに聞くと、
「PR映像の撮影スタッフから聞いた話ですが、現場にお友達のおばあさんを3人連れてきたそうです。その上で濱口さんは『みんなも出たいって言ってるんだけど』と訴えていたらしいんですが、申し訳ないんですがお断りしましたよ」
と話していた。