2016年9月26日に衆院本会議で起きたスタンディングオベーションは、今後は同様の事態が起きないようにすることで与野党が合意した。野党側が批判を強めたことが一因だが、その批判は、思わぬ「ブーメラン」を呼ぶ可能性もありそうだ。
民主党政権時代の09年の演説でも、「オーッ!」というどよめきのような声とともにスタンディングオベーションが起こっており、当時野党だった自民党からナチス党の青年団を引き合いに「ヒトラーの演説にユーゲントが賛成しているような印象」と、痛烈に批判されていた。
与党側も「適切ではなかった」
今回、安倍首相は所信表明演説の終盤になって
「今この瞬間も、海上保安庁、警察、自衛隊の諸君が任務にあたっています」
と言及。
「彼らに対し、今、この場所から心から敬意を表そうではありませんか」
と拍手を呼びかけると、自民党議員らが立ち上がって約20秒にわたって拍手。大島理森議長は「ご着席ください」と注意した。野党からは
「ちょっと異常な光景。ああいうことをやりだすと、恐らく他の政党もやると思う。自画自賛するためにやっている。言論の府ではなくなってしまうと思う」(日本維新の会・馬場伸幸幹事長)
「北朝鮮か、中国共産党大会のアレみたいな感じで、ちょっと、ますます不安を感じました」(「生活の党と山本太郎となかまたち」小沢一郎共同代表)
などと批判が続出。一方で、自民党の自民党の二階俊博幹事長は
「もし(野党側がスタンディングオベーションを)おやりになるなら、あの程度のことをおやりいただいても我々は別に抗議を申し込みに行きませんよ」
と、特段問題視しない考えだ。
野党側は翌9月27日の衆院議員運営委員会理事会で抗議。与党側も「適切ではなかった」として、今後は同様の事態が起きないようにすることで申し合わせ、この件は一応の決着を見た。