「やる気なし男のモスキートーン」(LECRE Inc.)
「モスキート音」と呼ばれる音がある。高周波の、蚊が飛ぶ際に出す「プーン」という不快な音だ。周波が高い音は、若者は聞き取れるが年を取るにつれて聞こえなくなる。
スマートフォン(スマホ)のアプリには、モスキート音を利用して「耳年齢」を推定するものが多く見つかった。20代レベルの音が聞こえたら自慢できるかも、と甘く見てトライした中年記者だが、あまりにも残念な結末が待っていた。
実年齢で聞こえるべき周波なのに...
「やる気なし男のモスキートーン」という無料アプリをダウンロードした。インパクトのあるキャラ「やる気なし男」がドーンと画面に出てくるが、使い方はいたってシンプルだ。「メイン画面」では、周波数別に年齢が明記されていて、再生ボタンを押すと10秒間モスキート音が流れる。60歳以上は8キロヘルツ(kHz)、50~59歳は10kHz、と徐々に高周波となり、最も若い20歳以下は18kHzだ。
まずは試しに「20歳以下」を選択。再生すると、
「......」
全くの無音が続く。もしかしたら音量を絞り過ぎているのかなとボリュームを上げるが、効果なしだ。まあ、さすがに20歳以下の音は中年記者に聞こえなくても仕方がない。続いて20~25歳(16 kHz)、30~39歳(15 kHz)と挑戦するが、相変わらず沈黙が続く。そして40~49歳(14kHz)になった。年齢的に聞こえないとマズいレベルだが、ちっとも聞こえてこない。
悲劇は続く。次の50~59歳レベルにきた。ところが、またもや耳元はシーンとしたまま。「えーっ、さすがにあり得ないでしょ」と再生ボタンと乱打したり音量をマックスに上げたり、半ばパニック状態でスマホを振ってみたが、もちろん何も変わらない。
「もしかして、アプリかスマホの不具合かも」
そう言い訳しつつ、最後の「60歳以上」のボタンを押した。すると、
「キーーーーーーーン」
耳元に鳴り響く不快音。おお、これか、と一瞬喜んだものの、よく考えたら自分の耳年齢が60歳以上だと確定した瞬間だった。
健診の聴力検査では8kHz以下
インターネット上で見つけた、他のモスキート音による「耳年齢測定」を試したところ、記者の場合はそこでも実年齢よりずっと上の音しか聞こえなかった。アプリが正確だったことと合わせて、耳年齢はかなり高齢だと分かった。
ただし記者の場合、健康診断で行われる聴力検査では、これまで全く問題はなかった。複数の耳鼻科のウェブサイトを見ると、検査では8kHz以下が使われているという。また「耳年齢」と実年齢は必ずしも一致せず、個人差があるようだ。
聴力検査をパスしているので、耳の異常に関してはあまり心配しなくてよさそうだとホッとしたが、それでも「60歳以上」認定には少なからずショックが残った。