日本は金蔓になるだけ? もんじゅ「廃炉」と「仏との共同研究」

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   日本原子力研究開発機構(JAEA)が運営する高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)の廃炉が事実上決まった。政府の「原子力関係閣僚会議」が2016年9月21日、「もんじゅについて、本年中に廃炉を含めて抜本的見直しを行う」ことで合意した。併せて、核燃料サイクルを維持するとして、その方策も決める。累計約1兆円の国費を投じながら20年以上、ほとんど運転していない「もんじゅ」の廃炉は遅きに失した感はあるものの、原子力政策の大きな転換点になるのは間違いない。ただし、その先の見通しは曖昧なままだ。

   「サイクル」維持について、世耕弘成・経済産業相を中心とした官民の「高速炉開発会議」を設置し、新たな「高速炉」開発の検討を進める。具体的には、フランスが計画する新型高速炉「ASTRID(アストリッド)」の共同研究を軸に議論が進む見通しで、1代前の実験炉「常陽」(茨城県大洗町)の再稼働なども検討課題になる。

  • 日本原子力研究開発機構の高速増殖原型炉もんじゅ/もんじゅ運営計画・研究開発センターのホームページより
    日本原子力研究開発機構の高速増殖原型炉もんじゅ/もんじゅ運営計画・研究開発センターのホームページより
  • 日本原子力研究開発機構の高速増殖原型炉もんじゅ/もんじゅ運営計画・研究開発センターのホームページより

核燃サイクルとプルサーマル

   「もんじゅ」はプルトニウムとウランを燃料に、消費した以上のプルトニウムを生むことから、「夢の原子炉」ともいわれる高速増殖炉。発電中、燃料にならないウラン238に中性子を当て、利用可能なプルトニウム239に変えるので燃料が「増殖」する。実験炉「常陽」を経て1991年に完成した。出力は28万キロワットで、「原型炉」というまだ実験の第2段階に位置付けられ、「もんじゅ」後は「実証炉」を経て実用化に向かう技術だ。

   「もんじゅ」は1994年4月には初の臨界に達したが、1995年12月にナトリウム漏れ事故を起こして止まり、運転再開に漕ぎ着けた直後の2010年8月に燃料運搬装置の落下事故を起こして再び停止。その後も、機器の点検漏れが大量に発覚するなどトラブルが相次ぎ、運転されぬまま今日に至る。それにもかかわらず、今も年間200億円の維持費がかかり、さらに、再稼働させると18年間で少なくとも5800億円の費用がかかる(文部科学省試算)。他方、廃炉費用も3000億円が必要とされる。

   かつて、大蔵省(現財務省)の主計官が整備新幹線への反対を訴える中で、戦艦大和・武蔵、伊勢湾干拓、青函トンネルを「昭和の三バカ査定」と揶揄して物議を醸したことがあるが、その後も、類似の「バカ査定」として本四架橋や廃船になった原子力船「むつ」なども話題になった。その伝でいくと、まさに「もんじゅ」もバカ査定に含まれていいところだが、これは「核燃サイクル」という国策に関わるだけに、批判されても生き長らえてきたという、いわくつきともいえるものだ。

   核燃サイクルは、原発燃料のウランの有効利用、言い換えると、原発の使用済み核燃料を有効に再利用するためのシステム。具体的には、原発の使用済み核燃料を再処理した後、二手に分かれる。一つが高速増殖炉、そしてもう一つが、再処理工場で抽出したプルトニウムをウランに加えてMOX燃料を作って原発で使う「プルサーマル」。量的にはプルサーマルはプルトニウム使用量が少なく、コストも割高だから、あくまで「脇役」で、本命は増殖炉。だから、政府は「もんじゅ」開発の旗を立て続けてきた。

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