大阪の近鉄・東花園駅で客に囲まれた男性車掌(26)が線路高架から飛び降りたことを巡り、ネット上などでは、車掌を擁護する声が相次いでいる。
「もうこんな仕事やってられるかー!」「死なせてくれ」。目撃者らの話として、車掌が行動を起こす前にこう絶叫していたとされている。
高木美保「いやダメです」
報道やツイッター上の情報などによると、2016年9月21日10時40分ごろ、近鉄奈良線で高齢者女性が飛び込んだとみられる人身事故を受けて、東大阪市の東花園駅で電車が止まると、車掌は遅延の案内などに追われた。
そして、少なくとも6、7人の乗客に囲まれ、「ほんで、どう責任とんねん!」「バス手配しろ」などと問い詰められた。車掌は、10分ほど丁寧に対応していたが、突然逆切れ状態になり、制帽や制服などを脱いで、線路にかなぐり捨てた。そして、ホームの中央付近から線路に飛び降り、Tシャツ姿で走ってホームの端まで行くと、線路を横断して、高架の柵を乗り越え、約7.5メートル下に飛び降りた。
報道などによると、その直後の車掌は、上半身を揺さぶるようにして、「もう嫌やねん、嫌やねん。毎日どうなってもいいねん」とうなっていたといい、救急車で病院に運ばれたが、腰や胸の骨を折る重傷を負った。
あまり聞かない話題だけに、22日朝のワイドショーがこぞって取り上げ、テレ朝系「モーニングショー」でも、冒頭からタレントの高木美保さん(54)が、ストレスがたまって飛び降りたとしたらどう思うかと聞かれ、「いやダメですよねえ」と反応。そして、「私もそういう現場いましたけど、みんなこう冷静にってなるように、会社でも練習している」と述べるなど、車掌の行動に批判的な意見を述べた。
社内処分は「車掌が置かれていた状況を考慮」
これに対し、コメンテーターの玉川徹さんは、「普通の人でもありえることらしいですよ」と意見をはさんだ。
玉川徹さんによると、人間は、許容量を超えてしまうと、心因反応で合理的でない行動を取ってしまうこともあると聞いているという。しかし、高木美保さんは、今回の車掌は人よりも許容量がないタイプだとして、「逃げるマインドではいけない」「我慢しなきゃダメですよ」と手厳しかった。
ニュースのコメント欄やツイッターなどでは、「職場放棄ではないか」「線路に飛び降りるはいけない」といった意見はあるものの、車掌に同情し「モンスター客」に批判的な声の方が多い。高木さんの意見については、「ズレてる」「心底がっかりした」と疑問や批判が相次いで、炎上状態になっている。
「そりゃいやにもなるだろうよ・・」「クレーマーこそ問題にすべき」といった書き込みが支持を集め、ツイッターでは近鉄に車掌を守るよう求める動きも出ている。
近畿日本鉄道の秘書広報部では9月23日、現場で何があったかについて、
「多くの客に取り込まれる形で問い合わせを受けていたとは確認しています」
とJ-CASTニュースの取材に答えた。なぜ車掌が前出の行動を取ったのかについては、「間近で見ていた駅員もおらず、本人から聞ける状態になっていませんので、まだ確認できていないです」とした。
車掌の行動には、「不適切なことで誠に遺憾であり、申し訳なく思っています」と謝罪した。社内規定に基づいて処分を検討しているというが、「車掌が置かれていた状況を考慮する必要もあると考えています」としている。客とのやり取りを巡って、警察が捜査している情報はないという。
今回の件について、近鉄のホームページを通じた意見が23日正午現在で約1500件も来ている。車掌に厳しい処分を望む向きはあるものの、寛大な処置を求める意見が最も多いそうだ。