民進党の蓮舫代表は2016年9月23日、代表就任から初めての定例会見に臨み、同日午前に台湾当局から国籍離脱手続きが完了したという証明書を受け取ったと発表した。
だが、代表選期間中に蓮舫氏の発言が二転三転したことに加え、野田佳彦・前首相をはじめ野田内閣時代の主要メンバーを重用した人事が発表されたことで、依然として党内の不満はくすぶっている。
「台湾は台湾の方にとっては自分たちの祖国」
蓮舫氏は会見冒頭、国籍問題について
「手続きを父に任せていたこと、31年前の記憶に頼っていたこともあり、さまざま私の発言、あるいは私の法的な認識、評価が混同し、ご迷惑をおかけしたことはお詫びしたい」
などと改めて陳謝。発言が二転三転したことで党内から批判が出ていることについても、
「私に聞いてくる人もいるので、その都度丁寧に答え、説明をさせていただいている」
と述べた。
国籍問題は、台湾にも波及している。蓮舫氏が9月11日の会見で、
「(日本が台湾を国家として承認していない)『一つの中国』原則で言ったときに、『二重国籍』と(いう言葉を)メディアの方が使われるのは、少し私はびっくりしている」
と述べたことが原因だ。この発言が台湾では
「台湾は国ではない」
「中華民国は中華人民共和国に継承されたので台湾籍が自動的に失効した」
などと報じられ、台湾の与党・民主進歩党の管碧玲立法委員(国会議員)は
「この議論は間違っており、台湾を大いに傷つけた」
などと蓮舫氏を非難。考えを改めるように求めていた。
蓮舫氏は、この点については、
「短い時間で答えなければならない必要性があり、誤解を呼んだかもしれない。台湾は台湾の方にとっては自分たちの祖国と思っている。日本からしてみたら、中国の考え方を理解し、尊重するという考え方。これは、我が国の見方と全く同じだと認識してほしい」
と、「一つの中国」の原則を繰り返した。
政府はこの問題について沈黙を守っている。菅義偉官房長官は蓮舫氏の会見の直後に開かれた定例会見で、
「詳細は承知しておらず、どのような内容が明らかにされたかということも承知していない」
などと蓮舫氏の事例についてはコメントを避け、国会議員の二重国籍の是非という一般論についても、
「議員ご自身で説明する問題だと申し上げている。ちなみに外務省では二重国籍の方の採用は行っていない」
と述べるにとどめた。
衆院2補選「与党対野党というシンプルな構図の方が...」
一方、蓮舫氏にとって「初戦」となるのが、衆院東京10区、福岡6区両補選(10月23日投開票予定)だ。民進、共産、社民、生活の野党4党は23日午前、国会内で党首会談を開き、2補選での選挙協力に向けて協議を進めることで合意した。民進党と共産党は、すでに両選挙区で候補者擁立に向けた準備をしており、野党統一候補が実現するかが焦点になる。蓮舫氏は
「今日の党首会談では具体的な選挙に関する合意はしていない。幹事長・書記局長会談でも、具体的な選挙についてお互い議論して合意を得たものではない」
と述べる一方で、
「政権選択の衆院選とは違って、2か所だけで行われる補欠選挙なので、ここの構図としては『与党対野党』というシンプルな構図の方が有権者の皆様方に選択(肢)として選んでいただきやすい姿になるとは思う」
などと候補の一本化が望ましいとの考えを示した。
また、政権から下野した「戦犯」ともされる野田佳彦・前首相を幹事長に起用したことで、民進党内に亀裂が入っているとも指摘されることについて、蓮舫氏は
「(人事で)色々なご意見があることは、私に直接言ってくださる方もいる。丁寧に説明すると同時に、これは細野代表(代行)も言っていたが、『居場所と出番(のある社会)』を訴える政党が、自分たちの議員の出番と居場所をしっかり作っていくというのが私たちの役割だと思っている」
などと話した。