高橋洋一の霞ヶ関ウォッチ 
日銀にだまされたマスコミ 「枠組み変更」、実は「何もやっていない」

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インフレ目標の達成期限の先送り

   3者会合で、金融庁はこれ以上マイナス金利をやらないでもらいたいという意向だ。それは、マイナス金利は日本経済のためにはなるが、当面の金融機関収益を失わせるからだ。1兆円ももうけたメガバンクが、収益が減るとマイナス金利に反対している以上、金融機関の擁護者である金融庁としては当然の話だ。

   財務省は、安倍政権の積極財政をよしとせず、さらなる国債発行を嫌っている。日銀も、もともと国債買入に消極的であり、黒田総裁が隠れ財務省ということを知っているので、財務省に同調しがちだ。

   こうして、マイナス金利も国債買入増額の量的緩和も封じられた。と同時に、長短金利スプレッドを確保して、いっそう金融機関の擁護を決定的にした。その代償が、インフレ目標の達成期限の先送りである。

   もともと2年でインフレ率2%が達成できなかったのは、2014年4月からの消費増税があったからである。そのときまでインフレ率1.5%と目標達成直前だった。この事実を総括検証ではほとんど触れずに、必要な金融緩和をせずに、政策変更して目標達成時期を先送りした。やるべきことをやらないと、後で日本経済にしっぺ返しが来る。急激な円高にならなければいいが。


++ 高橋洋一プロフィール
高橋洋一(たかはし よういち) 元内閣参事官、現「政策工房」会長
1955年生まれ。80年に大蔵省に入省、2006年からは内閣参事官も務めた。07年、いわ ゆる「埋蔵金」を指摘し注目された。08年に退官。10年から嘉悦大学教授。著書に 「さらば財務省!」(講談社)、「図解ピケティ入門」(あさ出版)、「儲かる五輪 訪れる巨大なビジネスチャンス」(角川新書)など。


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