商品力いかに高めるか
新浪氏の次にローソン社長に就任したのは、ユニクロを展開するファーストリテイリングやロッテリアの経営トップを務めた経験もある「経営のプロ」、玉塚元一氏。新浪氏と親しく、新浪氏が後任含みでローソン入りさせた人物だ。トップ人事で三菱商事がグリップを強める第2段階として、この玉塚氏が16年6月、社長から会長兼最高経営責任者(CEO)となり、三菱商事出身の竹増貞信副社長が社長兼最高執行責任者(COO)に就任した。玉塚氏はCEOとはいえ、経営がワントップからツートップになった以上、「玉塚色」は薄まらざるをえない。
三菱商事がローソンへの肩入れを強める背景には、三菱商事自身が抱える問題がある。長年経営の柱となり強みでもあった液化天然ガス(LNG)などの資源ビジネスが、資源価格の低迷で逆に屋台骨を揺るがす赤字を生む事態となっているからだ。三菱商事は2016年3月期に創業以来初の最終赤字に転落。中期経営計画などで今後は食料など「非資源」に注力する姿勢を明確にしている。現在の三菱商事の垣内威彦社長自身、同社としてはこれまで傍流だった食料部門出身というのも、「非資源」強化の本気度を示している。垣内社長としては小売りのローソン、卸の三菱食品のほか、「川上」で食材を調達することにも力を入れ、世界の三菱商事の食料の商流を太く強くさせる考えだ。
一方、コンビニ業界では9月1日のファミマ・サークルKサンクス統合で国内店舗が1万7000~1万8000店程度と、一気にセブン(約1万9000店)と肩を並べた。サークルKサンクスとの統合はローソンも狙っていたとされるが、数ではローソンが完全に置いて行かれた格好だ。コンビニ経営で重要な1日1店舗当たりの売上高も、セブンの66万円に対しローソンは10万円以上の差をつけられている。三菱商事との関係強化でいかに商品力を高めるか。まさに、待ったなしの課題だ。