DeNAが初めてクライマックスシリーズ(CS)に出場、第1ステージで巨人と対戦することになった。「ハマ」(横浜)と「お江戸」(東京)の顔合わせは新たな人気を呼びそうだ。
評論家の先生方は、顔色なし、だった。DeNAの躍進をだれも予想しなかったからである。
「恐れ入りました」「失礼しました」
と言うのである。完全ハズレは仕方なかった面もあった。
ラミレス新監督は「負けても、明日がある」と
昨(2015)年のDeNAは最下位。中畑清監督の下、前半戦は首位だったのだが、オールスター戦を境に調子を落として沈んだ。前半戦も予想外なら後半戦も予想外だったわけである。
そして今シーズンも予想外。専門家泣かせ、のチームともいえる。
今季のDeNAは、前半戦40勝44敗3分けで3位。振り返って見ると、開幕から不振で、5連敗を含み負けが込んだ。5月下旬まで最下位だった。借金10というときもあった。
それだけに粘り強い戦いぶりは賞賛されよう。
アレックス・ラミレス新監督のさい配は見事だったといえる。
「チームは家族」
この考え方が浸透した。このキーワードは外国人が口にすると違和感が全くない。選手たちが語る。
「負けても、明日がある、と言ってくれる。それも明るく、だ。気持ちが楽になって。次の試合に臨めることができた」
日本伝統のお説教はなかった、という。
今シーズンは互角の対戦成績
CS第1ステージでぶつかるのは巨人。このチームは「球界の盟主」とプライドが高い。それだけに負けると暗い雰囲気を醸し出す。DeNAとは対照的といえるかもしれない。
この両者、今シーズンは互角の対戦成績を残している。
「巨人は前年最下位のDeNAに苦戦したことが大誤算。広島に大差をつけられた原因といっていい」
巨人関係者の言葉はその通りで、第1ステージの戦いは油断できないだろう。
DeNAの本拠地は横浜。「ハマっ子」のファンは、相手が巨人とあって闘志むき出しである。巨人は「花のお江戸」の代表的存在だ。
見どころは満載である。
ラミレス監督は巨人に在籍したことがあり、高橋由伸監督とは打線を組んだ仲。選手では売り出し中のDeNA筒香嘉智は本塁打王と打点王を狙うし、巨人の坂本勇人は首位打者を目指している。
DeNAの中畑前監督は巨人育ちで、両軍の応援団長としてユニークなコメントを連発するだろう。横浜と東京、アカ抜けた試合を望む。
(敬称略 スポーツジャーナリスト・菅谷 齊)