【男と女の相談室】寝ながらスマホで「失明」する 朝起きると片目だけ見えなくなる謎

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明るい陽射しから暗い映画館に入るのと同じ現象

   マフォール医師らは、2人に実際に病室のベッドの上で「寝ながらスマホ」を実演してもらい、また自分たちも同様の行動で何度もテストを行ない、ついに謎を解明した。秘密は、横向きになってスマホを見ることにあった。寝床にスマホを持ち込む人なら覚えがあるだろう。メールをチェックしたり、アプリを操作したりしているうちに自然に横向きになる。すると、片方の目が枕に沈み、もう1つの「片目」で見ることになる。これが目によくないのだ。

   暗い部屋の中で、スマホの光る画面を見続けた目は、眠りにつく時に暗闇に慣れるまでに時間がかかり、一時的に失明のような状態になる。たとえば、明るい陽射しの屋外から暗い映画館に入ると、視界が真っ黒になり、しばらく見えない。逆に明るい外に出ると、真っ白になり、目がくらむ。これは目の光感受性色素が黒くなったり、白くなったりして目に入る光を調節する「暗順応」「明順応」という生理反応だ。

   スマホ画面を見ていた片目の光感受性色素が「白く」なった状態のまま眠ると、翌朝起きた時に、もう片方の目よりも光に対する反応が遅れて弱くなる。そのため、一時的に「失明状態」になったように感じる。ただし、これは脳がそう受け止めるだけで、しばらくすると回復する。

   Aさんが右目だけだったのは、いつも左目を枕に沈める方向に寝る癖があり、右目だけでスマホを見ていたから。Bさんが両方の目だったのは、特に寝る方向に癖がなかったからだ。「暗順応」「明順応」は正常な目の働きだから、特に心配する病気ではないという。

   マフォール医師は、論文の最後で「私たちは、スマホによる一時的な失明現象に悩む患者と医師の双方を安心させ、不必要な不安やコストのかかる検査を回避するためにこの研究を発表しました」とコメントしている。

   「一時的な失明」は病気とはいえない症状だが、「寝ながらスマホ」には睡眠時のホルモンの分泌を乱す作用があるという研究もある。控えた方がよさそうだ。

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