富山県東部にある黒部ダム近辺で、2016年8月29日頃から小規模な地震が頻発している。富山地方気象台によれば、同地域での地震活動は9月12日以降さらに活発化。8月以降の観測回数は、すでに400回を超えているという。
富山はもともと地震の少ない地として知られ、過去に県内で震度6以上を観測したのは1858年(安政2年)の「飛越地震」までさかのぼる。そのため、ネット上では「そろそろ警戒が必要な感じで怖い」「なんか不気味」と不安の声が広がっている。
「東日本大震災」の後にも地震活動
地震活動の活発化を受け、富山地方気象台は16年9月16日と20日に「富山県東部の地震活動について」などと題した解説資料を2度にわたって発表している。
それによると、地震の震源は、黒部ダムから北に8キロほど離れた地域に集中。地震の最大規模は9月19日23時47分頃に観測されたマグニチュード(M)2.0で、大半はM1.0にも満たない規模だ。地震の発生回数は9月12日頃から急増しており、19日までの1週間の間に200回以上が起きている状況だ。
活発な地震活動が起きている地域から南西に約10キロ離れた場所には「弥陀ヶ原火山」(別名、立山火山)があるが、気象台は「火山活動には特段の変化は見られず、直接の関係はありません」としている。ただ、震源の浅い地震が局所的に発生していることから、規模が小さくても落石や地盤の崩れが起きる可能性があるとして、気象台は登山客に注意を呼び掛けている。
気象台の地震津波防災官は21日のJ-CASTニュースの取材に、富山県内でこうした地震活動が起きるのは「珍しいケース」だと話す。その上で、
「前回まとまった地震活動が県内で起きたのは、東北地方太平洋沖地震(編注・東日本大震災のこと)が発生した2011年の10月頃までさかのぼります」
と説明した。このとき発生した地震の震源も、今回と同じく黒部ダム付近に集中していたという。