石原慎太郎・元東京都知事は2016年9月21日、報道各社に文書を送り、築地市場の移転先である豊洲市場の盛り土問題で、自身が知事時代に、一部の敷地で盛り土ではなく、地下空間の利用を提言したとする発言がブレて、混乱していることについて釈明・謝罪した。
当時から10数年がたっていることや高齢を理由に、記憶が薄れ、勘違いの可能性もあり、「無用な混乱を招く恐れがある」として、今後は取材に答えることは控えさせていただくとした。
「だまされた」「都は伏魔殿」から一転
豊洲の盛り土をめぐっては、どういう経緯で盛り土がなされず、地下空間を作ることになったのか、関係者の証言が食い違い、小池百合子知事がプロジェクトチームを設けて事実関係を調べている。また、豊洲市場のコンクリート空間のたまり水からは、微量のヒ素やシアンなども検出され、豊洲への移転自体が宙に浮く事態になっている。
問題が起きてから、石原氏は13日のテレビ番組で、盛り土をしないとの報告を都から受けていたかとの質問に、「だまされた。都の役人は腐っている」と発言し、そうした報告を受けていないと否定した。
しかし、その後、都知事だった2008年5月の定例記者会見で、専門家の発言を紹介しながら、「コンクリートの箱を埋め込む」案を、自ら都側に提案していたことが明らかになった。
これについて、石原氏は15日に報道陣の取材に対して、「専門家じゃないんだから、俺はしてない」などと否定。「役人からそういう情報を聞いたので、取り次いだだけ」と説明し、さらに「東京都は伏魔殿だ」と、都を厳しく批判した。
ところが、石原氏は17日になると、
「元秘書が詳細を覚えていた」
として、コンクリート箱などの地下利用案について、自らが提案したと、訂正。発言のブレが混乱に拍車をかけていた。