どうなる「市場との対話路線」
とはいえ、足元の円高圧力は高まる可能性は小さくない。じつは2016年の日銀の金融会合後のドル円相場は、「円高ドル安」になる流れが続いている。会合はこれまで5回開かれたが、円安ドル高に振れたのは1月29日にマイナス金利の導入を発表したときだけ。しかし、この時ですら3日後にはドル安円高に転じてしまった。
つまり、さすがに年初の1ドル120円から100円前後まで、一気に円高ドル安とはいかないまでも、円高圧力がかかり続けているのは確かなようだ。
日銀はこれまで、「金融緩和策は為替だけをターゲットにしているものではない」と言い続けてきたが、為替相場は株式市場では輸出企業の影響が大きく、「円安になれば株価も上がり、景気もよくなる」流れができあがっている。
外為どっとコム総合研究所の神田卓也・調査部長は、「日銀は今回の会合で、これまでのサプライズ路線を変更して、市場との対話路線を打ち出そうとしています。これまでは市場との対話がうまくいっていなかったためですが、それをどのような枠組みで変更してくるのか、あるいはしないのかに注目しています」と話す。