「私、シャリ残す人だから」「ネタ全部食べてシャリは半分残す」――。ここ最近、刺身を置いていない回転すしチェーンの利用客が、寿司の「シャリだけを残す」というケースが目立つようになってきた。
大手回転すしチェーン各社はJ-CASTニュースの取材に、「シャリを残すといった行為は把握していない」と口を揃えるが、ツイッターなどのSNSには、若い女性ユーザーを中心に「シャリは太るから食べない」といった報告が相次いでいる状況だ。
食べ残したシャリが生ゴミのように・・・
安価な値段で寿司を食べられることから、年代や性別を問わず人気の回転すしチェーン。各社が競うようにラーメンやカレーなどサイドメニューの充実に力を入れる一方で、意外にも「刺身」を置いているチェーンは少ない。
実際、全国に店舗を展開する有名チェーンの中で、常設のメニューに刺身があるのは「はま寿司」だけ。「スシロー」「くら寿司」「かっぱ寿司」「元気寿司」では、一部の店舗などで限定的に刺身を提供する場合はあるというが、常に注文できるわけではないようだ。
こうした状況の中で目立ち始めたのが、寿司のネタだけを食べてシャリを残す客の姿だ。実際、ツイッターで「シャリ 残す」などと検索すると、
「寿司から刺身だけ剥ぎ取って食べて、シャリを全部残す食べ方してた」
「太るからシャリは残す」
「残すの忍びないけどシャリを半分にさせてもらった」
「シャリあんなにいらない いつも半分に割って半分残す」
といった投稿が百件以上ヒットする。なかには、「回転寿司でシャリ抜きを頼みたい」と要望する書き込みも数多く出ていた。
さらには、シャリを残したことをわざわざ写真付きで報告するユーザーも。食べ残したシャリを生ゴミのように積み重ねた画像や、「アガリ」用の湯飲みに残したご飯を詰め込んだ画像が何枚も見つかった。
「お寿司をどのように食べるかはお客様の自由です」
いったい、どのような「層」が回転すし屋でシャリを残しているのか。ツイッターに寄せられた投稿を見る限り、やはりその中心は「ダイエット中の若い女性」のようだ。炭水化物をひかえる「糖質制限ダイエット」が流行したこともあり、寿司屋であっても頑なにシャリを食べない人が増えたとみられる。
実際、「糖質制限ダイエットブログ ~糖質と健康と~」という個人サイトが14年2月18日に公開した記事では、
「回転寿司等では、『ごめんなさい』と言いながらシャリを少し残してしまうのもいいかも知れません。ご飯を残すことには反対ですが、健康には変えられません」
といった「アドバイス」を送っている。
こうした「シャリ残し行為」を、店舗側は把握しているのか。9月16日にJ-CASTニュースが大手回転すしチェーン3社(「かっぱ寿司」、「くら寿司」、「元気寿司」)の担当者に取材したところ、各社とも口を揃えて、
「そうした行為は把握していないが、お寿司をどのように食べるかはお客様の自由です」
といった内容の回答が返ってきた。
なお、寿司のシャリを残すという行為をめぐっては、過去にモデルのマギーさん(24)が批判に晒されたことがある。マギーさんがテレビ番組の食レポ企画で「寿司のネタだけをはがして食べた」ため、ツイッターなどで「シャリ残すとか最低」「職人さんを前にして本当に失礼」との声が殺到していた。
このとき、寿司職人の養成学校「東京すしアカデミー」の広報担当者はJ-CASTニュースの取材に対し、
「握り手から見れば、あまりしてほしくない行為であることは確かです。何の断りもなく自分の握った寿司を『分解』されたら、気分を害するのが当然でしょう」
などと話していた。