コンテナ船では世界7番手、韓国では最大手の韓進(ハンジン)海運の経営破綻の影響が世界中に広がっている。
寄港や荷下ろしに関する費用の不払いを恐れ、入港を拒否されている船は約70隻。世界の海を漂流中だ。前代未聞の事態に荷主はもちろん、港を目の前に下船できない缶詰め状態の乗客や乗員が悲鳴を上げている。
「ナッツ・リターン」の兄弟企業
発端は先月末、同社の経営再建策が手ぬるいとして銀行団に追加融資を拒まれ、韓国の裁判所に破産手続きの申請をしたこと。海運不況でコンテナ船運賃の低迷が続くうえ、オーナー家が支援に消極的なことが融資拒否の理由という。
通信社のロイターによると、各地の海をさまよう貨物船に積まれたコンテナの数は約40万個、積み荷の価値は約140億ドル(約1兆4000億円)、荷主は約8300社におよぶ。
韓進のコンテナ船の入港を拒否した中には日本の港も含まれていて、同社と取引がある日本の船会社や港への影響も避けられない。神戸港では、神戸市が韓進の空コンテナの滞留を避けるため、コンテナの移動、回収費用を補助する緊急措置を14日から開始したほど。
韓進海運の負債は約55億ドル(約5500億円)。韓国ではナッツ・リターン事件で悪名をはせた大韓航空が兄弟企業で、同じ財閥に属している。韓進海運の経営難は以前からで、韓国では大韓航空の支援の遅れに批判が高まっている。
米国の経済紙・ウォール・ストリート・ジャーナルによると、同社は債権者による自社船や積み荷の差し押さえを防ぐため、今月初め、米国ニュージャージー州の裁判所に破産手続きの申請をしたという。