10代の子どもの肥満が問題になっているが、幼少期に夜更かしをしていた子は早寝をしていた子より2倍以上の確率で肥満児になることが明らかになった。
十分な睡眠をとらないと、脳が必要以上に甘いお菓子を欲しがるようになることが大きな理由だ。早寝早起きの習慣をしっかりつけさせよう。
夜9時過ぎに寝る子は肥満児になるリスクが2.3倍
この研究をまとめたのは、米オハイオ大学のチームで、米の小児科学会誌「Journal of AAP」の2016年9月号に発表した。それによると、研究チームは10代後半の男女977人について、就学前から思春期までの健康状態を追跡調査したデータを分析した。そして、4歳半前後だった時の就寝時間と身長、体重、肥満度を示す体格指数(BMI)などのデータを、15歳になった時点でのデータと比較した。
その結果、4歳半前後で午後8時までに寝ていた子どもが15歳の時点で肥満になる率は10%だったが、午後9時以降に寝ていた子は23%だった。肥満になる確率が2.3倍も高いのだ。ちなみに午後8~9時の間に寝ていた子の肥満率は16%だった。
この研究では、なぜ遅く寝ると肥満児になりやすいのか、その理由は明らかにしていない。しかし、別の研究によると、睡眠時間が足りなくなることが関係しているらしい。2015年8月、英ロンドン大学が睡眠不足の子どもと肥満の関係を調べた研究を発表した。5歳児1008人(平均睡眠時間11時間半)の親の協力を得て、夕食後で満腹状態の時に「甘いお菓子などのおやつ」を見せ、どのくらい食べたがるかの反応をみる調査を行なった。
夜更かしが体内時計のリズムを乱し、肥満体質に
その結果、食後に甘いお菓子を欲しがる度合いをスコアで比較すると、睡眠時間が11時間未満の子どもは、12時間以上の子どもより1割近く高かった。また、体格指数(BMI)の数値も明らかに高かった。研究チームでは、その理由について次の2つをあげている。
(1)夜更かしそのものが体内時計のリズムを乱し、肥満体質にしてしまう。
(2)大人の脳の研究でも、睡眠不足が続くと、脳の報酬系の領域でおいしそうな食べ物のイメージと快楽がつながり、食べ物の誘惑に負けやすくなって過食の原因になりやすい。
子どもを早く寝かせることが基本だが、親も夕食後に間食をしたりして子どもを「刺激」しないことも必要だ。まず、親が生活習慣を変えることが大切かもしれない。