農水省、価格引き下げに向けた法改正も検討中
外部からは「ぬるま湯」でやってきたようにも見えるだけに、今後、「本気度」が問われる局面が訪れそうだ。早速クギをさしたのが山本有二農相で、9日の閣議後会見でJAグループの事業改革案について「さらなる具体化や拡充をしていただけると信じている」と述べ、まだ不十分との認識をにじませた。
安倍政権は、「小泉部会長を中心とする改革方針を全面的に支援する」(菅義偉官房長官、6日の記者会見)と、小泉氏と二人三脚で改革を推進する構え。12日の規制改革推進会議(議長・大田弘子・政策研究大学院大教授)の初会合で、安倍晋三首相は農業改革について、生乳の流通改革とともに「生産資材や加工流通構造に関する具体策について、この秋に結論を出す」と言明した。これに先立ち、今夏の農水省人事にも手を突っ込み、省内では非主流派かつ改革派とされる奥原正明氏を事務次官に就け、霞が関の官庁街に衝撃が走ったことは記憶に新しい。その農水省はJAを守るのとは逆のベクトルで、価格引き下げに向けた法改正も検討中だ。
かつてのような有力な農林族議員が不在なことも、全農の「四面楚歌度」を高める。ただ、現実に農業を担う高齢者が次々と引退する時代を迎えているだけに、「安倍政権でなくても改革は待ったなし」との指摘もある。政界の階段を上りかけている小泉氏にとって、まさに手腕が問われることになる。