2016年9月1日のブログ開設以降、乳がん発見までの経緯を毎日のようにつづっているフリーアナウンサーの小林麻央さん(34)。ブログは更新する度に反響を呼び、アメーバブログ(芸能人・有名人ブログ)では総合ランキング1位をキープしている。
その内容は驚くほど詳細だ。ともすれば、諸々の記述から本人が明かしていない「ステージ」等を勘ぐられる可能性もあるが、麻央さんは精力的に自身の体験や心境をつづり、更新ペースを緩めない。
「乳がん」に加え「脇のしこり」も公表
病気について本格的に書き始めたのは9月7日のこと。以来、タイトルに番号をふりながら、これまでのことを振り返っている。がん発見までの経緯は次のとおりだ。
2014年2月の人間ドックで左乳房に腫瘍が見つかったが、別の病院で受けた再検査では「癌を疑うようなものではない」と診断された。以降は忙しい日々を送り、念のために受けようと考えていた8月の半年後検査も受けられずじまいに。それから2か月後の14年10月、自己チェックでしこりを発見。すぐに生検を受けたところ、医師から「95%、癌です」と告げられた――。
麻央さんはがんの進行度を表す「ステージ」こそ公表していないが、14日更新のブログでは、14年10月の検査時点で「脇のしこり」も見つかっていたことを告白。医師に転移の可能性を尋ねたことも明らかにしている。
夫で歌舞伎俳優の市川海老蔵さん(38)は16年6月の会見で「進行性がん」「手術に向けて抗がん剤治療を続けている」などと説明しており、諸々の情報を統合すれば、ある程度の「見当」がついてしまいかねない。実際、ネット上には憶測に基づいた病状を「真実」らしく書き連ねたページも散見される。
そもそも変えられないつらい過去を思い返す作業自体、相当な精神的負担を伴うことでもあるはずだ。「だんだん、おもちゃの音も、息子の声も、遠のいていきました」「れいか(編注:娘)とかんげん(同:息子)の顔が浮かび、我慢したけれど、ポタリと涙が流れた」といった記述は、スラスラ書けはしないだろう。それでも麻央さんは書くことをやめず、毎日少しずつ自身に起きた出来事を打ち明けている。
「私の体験をどんな形でも、活用してくれる方がいたら」
ブログ開設の理由について麻央さんは「癌の陰に隠れない」ため、「なりたい自分になる」ためだと説明していた。闘病について書くことで気持ちを整理できるという側面もあるだろう。マスコミに憶測記事を書かれないための対策とも見ることもできる。
ただそれ以上に、自身の体験を多くの人に生かしてもらいたい、という思いが強くあるようだ。振り返りブログを始める前の9月6日の記事では、
「『知らぬが仏』で本当に知らないで生きていられたら穏やかで幸せなこともたくさんあると思います。不安や怖れ、時に、憎しみや怒りが生まれるときは、特にそうです」「もしかしたら、今後、私のブログを読んで、悲しく感じたり、知ってしまうことで不安になってしまったり、何かを思い出し怒りを感じてしまう方もいるかもしれません」
とした上で、こうつづっていた。
「でも、私の体験をどんな形でも、活用してくれる方がいたらと願い、書きたいと思います」
一部のネットメディアでは、麻央さんのブログ開設について、「高額な治療費を工面するため」と報じているところもある。
だが、ネット上で圧倒的な数を占めるのは麻央さんへのエールだ。「活用して」の言葉どおり、ブログを読んで検診に行ったという報告も少なくない。同じような病気を抱える人々にも勇気を与えており、ブログのコメント欄には
「一緒に生きましょう、笑顔で」
「いつもどんなに励まされているかわかりません。ありがとう」
「麻央さんも頑張っているので私も頑張ります」
といったメッセージがいくつも寄せられている。