民進党の蓮舫代表は2016年9月16日に開いた両院議員総会で野田佳彦前首相(59)を幹事長に起用する人事案を提示し、承認された。首相経験者が野党の幹事長に就くのはきわめて異例。
ただ、野田氏は2012年に旧民主党が政権を失った際の首相・党代表で「戦犯」だとの見方も根強い。出席者からは野田氏に説明を求める声もあがり、野田氏は「蓮舫」の名前を念頭に
「ハスの花を下で支えるレンコンになった気持ちで徹底的に下支えをする」
などと述べた。
幹事長以外の人事は先送りに
蓮舫氏は代表に選ばれた後、自身が参院議員のため、幹事長には衆院で論戦できる議員を起用したい考えを示しており、両院議員総会では、
「安倍総理と対峙する、しっかりと政権と向き合っていく。そのことを衆議院でしっかりしていただけるご経験をお持ちの方と思っている」
などと野田氏の起用に理解を求めた。
しかし、野田氏には、旧民主党が政権から下野した際の「戦犯」のイメージが強く、出席者からは
「これまでの、様々なことに対するご自身の考え、思いをしっかりみんなに伝えなければ、今回のせっかくの蓮舫代表の『船出』に、ある種傷がつく」(逢坂誠二衆院議員)
などと野田氏に説明を求める声も出た。
これに対して野田氏は
「確かに今の党は、ある意味崖っぷちであり、これからも茨の道を歩んでいかないといけないときに、前面に出ることが本当にいいのかどうかを考えたときに、躊躇せざるを得ないというのが率直な気持ちだった」
などとして「(就任要請は)晴天の霹靂でした。固くお断りしました」と述べたが、結局は説得に応じた理由について、
「その人事が進まないと他の人事が先に行けないというお話もあり、ある意味、多くの落選して戻れない人たち、地方で苦闘している人たち、そういう人たちのためにも、自分の政治人生の落とし前をつけるつもりで火中の栗を拾う決断をさせていただいた」
と説明した。
旧民主党代表選では「ドジョウ」、今回は「ハスを支えるレンコン」
蓮舫氏は9月15日の臨時党大会のスピーチで、「蓮舫」と命名された経緯を披露している。野田氏はこれを踏まえたのか、
「ハスの花を下で支えるレンコンになった気持ちで徹底的に下支えをする、そういう決意で臨みたい」
とも述べた。
野田氏は、11年8月の代表選では
「ドジョウのように泥臭く、国民のために汗をかきたい」
と述べており、「泥」に関係する点では今回と共通している。
幹事長以外の人事は、来週に改めて両院議員総会を開催して決める。