赤ちゃんのコミュニケーション力にもいい
久保田競・カヨ子夫妻と同様に、「いないいないばあ」が脳の発達にいいことを強調しているのが内田伸子・お茶の水女子大学名誉教授(発達心理学)だ。育児専門誌「AERA with Baby」の2015年6月号のインタビューでこう語っている(要約抜粋)。
「『いないいないばあ』は生後すぐに始めてもいいですが、記憶力に結びつくのは生後10か月ごろ。この頃の赤ちゃんの頭の中では、記憶をつかさどる海馬という部分が劇的に活発化します。この記憶力の誕生が『いないいないばあ』を喜ぶことと密接な関係があるのです。海馬の前にあるのが扁桃体で、快・不快感情を喚起する場所です。赤ちゃんが快適な状態にある時は海馬がイキイキと働き、記憶もどんどん蓄積されます。しかし、不快な状態だと記憶機能全体の働きが低下します」
「『いないいないばあ』をして、赤ちゃんがたくさん笑うことで、扁桃体が『快』と感じ、海馬が活発に働く。それが記憶力アップにつながります。ママも思わず笑い返すので、相乗効果でどんどん楽しくなっていきます。これは人と人とが働きかけることの基本です。コミュニケーション力を養うことができます」
いいことずくめの「いないいないばあ」だが、親が手で自分の顔を隠す方法以外に、どんなやり方で楽しめば、より効果があがるのだろうか。前述の『赤ちゃん教育――頭のいい子は歩くまでに決まる』などをみると、次のような方法を紹介している。
(1)2~3か月くらいのまだ寝ている赤ちゃんには、小さめの薄いガーゼを顔に落とし覆って行なう。ガーゼを揺らして目で追わせたり、覆う時間を短くしたり長くしたり、リズムに変化をもたせることがポイント。
(2)もう少し大きくなってからは、親が手で自分の顔を隠す方法より、タオルなどで完全に顔全体を隠す方が効果は高い。赤ちゃんが慣れてきたら、「ばあ」をじらしたり、すばやく見せたりするなどタイミングを変えてみる。
(3)ついたてやカーテン、ドアの陰などに体全体を隠し、「ばあ」と顔をのぞかせる。
(4)親と赤ちゃんが一緒に鏡を見ながらする。赤ちゃんが鏡の中の親ではなく、振り向いて本物の親を見るまでやってみる。
(5)6か月くらいで、赤ちゃんがお座りをはじめ、お気に入りのおもちゃが出てくるようになったら、おもちゃをハンカチなどで隠して「いないいないばあ」をする。ハンカチからタオル、座布団へと難易度をあげ自分で探させてみる。
「いないいないばあ」は単調になりがちだから、バリエーションを豊かに楽しむといいだろう。