「炎症が出たという報告は初めて受けた」
一方で、前処理剤自体は使い方を間違わなければ健康被害を及ぼすものではないようだ。問題となったTシャツに使用された「ガンリョウヨウ マエショリザイ」(以下、同剤)を星美製作所に納品した島精機製作所(和歌山市)の担当者は、J-CASTヘルスケアの取材に、「複数の衣類メーカーに納品しているが、炎症が出たという報告は初めて受けた」と話す。「使い方を誤った可能性はあるようですし、同剤の品質に問題があったと思われてしまうのは、少なくとも現時点では誤解」とした上で、「他の納品先には、念のため使用を控えるようアナウンスしている」という。現在、情報収集と原因究明を進めているとも答えた。
大会公式サイトでも「原因の詳細は調査中」「全回収を目指し、回収作業を進めております」としている。被害にあった人には病院を案内しているという。
今回とは別だが、衣類に使用した薬剤が残留して皮膚に炎症を起こすケースについて、医療情報サイト「オールアバウト」の14年7月2日付の記事で、薬剤師の門田麻里氏がこう説明している。
「衣類に色を定着させる染料の中には、かぶれの原因となるものがあります。シワや縮みを防止するためのホルムアルデヒドも、使用基準が定められているものの、人によっては少量でかぶれることがあるようです」
ほかにもドライクリーニングの溶剤や、洗濯用柔軟剤でも、残留したまま着るとかぶれる可能性があるという。
対策としては、製造過程で残った薬剤を落とすために「あたらしい衣類は、水洗いが可能であれば着用前に洗濯をしましょう。その際、洗剤や柔軟剤の成分が残らないよう、すすぎは十分に行って下さい」とし、炎症が出たら「医療機関を受診し、パッチテストで詳しい原因を調べることをおすすめします」と門田氏は述べている。