「週1回以上」の男性の心臓病リスクが2倍に
(1)女性では「性行為が極めて気持ちがいい」「いつも満足が得られている」と答えた人々は、「満足度が低い」「性交渉がない」と答えた人々に比べ、高血圧になるリスクが非常に低くなり、心血管疾患(心臓病や脳卒中など)になるリスクが低い。
(2)逆に男性では「性行為が極めて気持ちがいい」「いつも満足が得られている」と答えた人々は、「満足度が低い」「性交渉がない」と答えた人々に比べ、心血管疾患になるリスクが高くなる。特に「性行為を週に1度以上している」男性は、「週に1度以下」の男性に比べ、リスクが2倍近くに上昇する。
つまり、セックスで健康になるのは女性だけという、従来の常識を覆す結果が出た。いったい、どうしてこんな結果が出るのだろうか。研究チームリーダーのフイ・リュウ准教授は、ミシガン大学のプレスリリースでこう語っている。
「今回の結果は、セックスがすべての人に均一に健康上の恩恵を施すという、広く支持された仮説に反旗を翻す結果です。女性にだけ健康をもたらす理由の1つは、オーガズムで分泌される女性ホルモンが体にいい効果を与えること。それと、女性の場合は性生活に満足しているということは、パートナーとの人間関係がうまくいっていることを意味しており、様々な生活上の助けを得られていることが大きいです。つまり、性生活が充実しているということが、心身ともにすべての満足につながっているのです」
「一方、男性の場合は人間関係の質に関係なく、パートナーから家事などの援助を得られる立場です。体力が衰えているのに性交渉をしなくてはという精神的な緊張と圧力が心臓病のリスクを高めます。若い男性に比べ、高齢男性はオーガズムに達するのが難しく、頑張り過ぎて血管にストレスが加わります。また、男性ホルモンの分泌を高め、性欲を促進する薬を使いがちになるため、心臓や血管に悪影響を与えます」
年をとってからのセックスは、脳にいいのか、心臓に悪いのか、男性にとって「死ぬまで悩む」問題のようだ。