世界10か国・地域で予想上回る需要があった
先行して販売している米国では、「ギャラクシーノート7」のバッテリーが充電中や使用時に発火したとの報告を受け、FAAが航空機を利用する人に対して、機内で電源を入れたり充電したりしないよう「強く勧告」するとの声明を発表したほか、消費者製品安全委員会(CPSC)もユーザーに使用中止を勧告した。
「ギャラクシーノート7」について、サムスン電子は韓国や米国など世界10か国・地域ですでに販売を中止しており、合計250万台を回収する方針を明らかにしている。
市場調査のBCNのアナリスト、道越一郎氏は「一時的には大きな痛手になる」とみている。「サムスン製の日本市場での販売状況は、このところあまりよくありませんでしたが、最近はようやく持ち直してきたところ。今回はその矢先ですから、水を差すことは間違いありません。バッテリーの不具合はこれまでも、他社でもあったことですが、これほど大規模となると...」と話す。そのうえで、「ただ、ここをカバーすれば、回復に向かう」ともいう。
「ギャラクシーノート7」の販売は滑り出しが好調で、2016年8月24日にはサムスン電子が「予想上回る需要で、世界的に供給を制限している」ことを明らかにしていた。そのため、一部の販売地域では発売時期を見直しているとされた。
一方、米アップルは9月7日(現地時間)、iPhoneの新モデル「iPhone 7」を発表。日本では9月16日に発売される予定だ。サムスン電子としては、「ギャラクシーノート7」の販売に弾みをつけたいところだったが、「強敵」の登場でそんな思惑もままならない。
道越氏は、「iPhone7は6sと比べて改善点も大きく(売り上げを)伸ばすことが予想されます。スマートフォン市場ではサムスンが世界一のシェアにありますが、両者が拮抗してくるとみています」と話している。