建設費の再検討と移転時期の関係性
そこで注目されるのが巨額に膨らんだ建設費だ。プロジェクトチームが検証するとしたことについては、「もちろん検証自体は意味がある」(毎日)、「事業費の膨張については、利権が絡んでいるとの指摘もあるだけに、精査は必要だろう」(読売)、「当初計画に比べて大幅に増えた移転経費についてしっかりと検証してほしい」(日経)と口をそろえる。
ただし、ここでも産経が「開場ありきでなく、今は問題の洗い直しを優先すべきだろう」と、知事の姿勢を評価するのに対し、他紙は「建設費などの検証は移転時期と直結しない。移転の延期と切り離して精査できる」(毎日)と「冷静」で、むしろ「負担増を抑えるためにも、移転時期の再決定に向けた作業を急がねばならない」(読売)、「都民への情報公開は必要だが、業者への補償費などが加わって事業費が大幅に膨らめば、何のための延期だったのかわからなくなるのではないか」(日経)など、真相解明はそれとして、延期の悪影響を極力抑えるよう求めることに力点を置く論調が目立つ。
これは「雑誌などでは『利権』疑惑も報じられているが、今はプロジェクトチームの検証を見極める段階」(ある新聞論説委員)という判断があるようだ。