市場に関係する業者への影響
延期決定自体は「食の安全を重視し、調査を最後まで見届ける必要がある、とした小池知事の判断は一理ある」(朝日)、「調査をしている以上、結果が出る前に移転をすることは、手続きとして疑問が残る。その意味で、いったん立ち止まると判断したことは理解できる」(毎日)、「都民の食の安全に関わる問題だけに、検査に万全を期そうとする姿勢は理解できる」(読売)など、ことは食の安全にかかわるだけに、「延期やむなし」の論調でほぼ一致する。中でも産経は「食品を扱う大規模な市場である以上、安全性を放置できないという判断は妥当である」と、「理解できる」より強い「妥当」という単語を使い、最も積極的に評価しているのが目立つ。
ただ、各紙とも、今後の展開への懸念も指摘する。
一つが、市場に関係する業者への影響だ。「準備を進めてきた市場関係者への配慮に欠ける面がある」(日経)というわけで、「業者の声にも真摯に耳を傾けるべきだ」(読売)、「都は、業者への損失補償などに誠実に向き合うべきだ」(朝日)と注文する。
湾岸部と都心を結ぶ幹線道路も、「五輪に間に合わせる必要がある。移転が大幅に遅れるなら、早急に現行計画に代わる案を検討すべきだ」(日経)などと、五輪への波及を懸念し、影響を最小限にとどめる努力を求めることでも、各紙、共通する。
今回、小池知事が厳しい対応をするのは、選挙中の「公約」ということはもちろんだが、都議会与党との主導権争いの行方を占う試金石になっていると、多くの関係者がみており、毎日社説も、「都議会などから都政の主導権を奪うための政治的な思惑もあるだろう」と指摘している。