ヤクルトの山田哲人が2年連続の打率3割、30本塁打、30盗塁のトリプルスリーを確実にした。史上初の快挙でスーパースターの資格を得たといえるだろう。
山田は2016年9月6日のDeNA戦(横浜)で二盗に成功、今季30個目の盗塁をマークした。すでに本塁打は30本を超えており、積み重ね記録の本塁打、盗塁はクリアとなった。残る打率も3割2分台半ばだから、これから3割を切ることはほぼありえない。
記録保持者はたった10人
「2年連続はだれもやっていないと聞いていたので、今シーズンはその目標にプレーしてきた」
史上初を確実にした山田は達成感をそう言い表した。
「だれにも真似ができない。すごい選手だよ」
ヤクルトをはじめ、各チームから賞賛の声が上がった。
確実性、長打力、そしてスピード。野球選手が理想とする数字をこともなくやってのけた。野球の申し子と言っていいだろう。
山田は昨(15)年、素質を一気に開花させた。打率3割2分9厘、本塁打38、盗塁34。本塁打と盗塁はタイトルを取り、打率は2位だった。チームの優勝に貢献し、MVPに選ばれた。今年はチームが低調のためあまり騒がれていないが、しっかりと成績を残していた。
トリプルスリーはこれまで山田を含め10人が記録しているにすぎない。別当薫、岩本義行、中西太、蓑田浩二、秋山幸二、野村謙二郎、金本知憲、松井稼頭央、柳田悠岐である。貴公子・別当、神主打法・岩本、怪童・中西の3人はいずれも殿堂入りしているオールドファンにとって懐かしい選手だ。
一方、大ちょんぼでこの大記録を逃したスーパースターがいる。
1958年のシーズンに打率3割5厘、本塁打29、盗塁37をマークした新人である。外野スタンドに打ち込みながら、一塁ベースを踏み損ねたためにホームランをフイにしてしまった。それで1本足りない結果となった。