ビールメーカーVS財務省 「発泡酒など増税」めぐるバトル

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税額統一だけでなく、「定義」見直しも検討

   財務省が現在考えているのは、税額を350ミリリットル当たり55円に一本化するというもの。他の酒類も含め酒税の税収約1.3兆円の総額を変えないのが前提だ。この案通りなら、減税になるビールの小売価格は安く、増税になる発泡酒・第三のビールは高くなる見込み。

   味では発泡酒などより、やはり正規のビールという消費者も多いだけに、正規ビール「復権」の可能性もある一方、第三のビールの安さを重視する消費者の反発は必至。このため、税率を統一する場合でも、消費者や事業者への影響に配慮し、数年の移行期間を設けて段階的に実施する見込みで、その期間も焦点になる。

   今回、税額の統一だけでなく、ビールの定義見直しも検討する。現行では原料をホップや麦などに限り、麦芽比率が67%以上のものしか「ビール」と認めない。欧州には原料にオレンジピール(皮)などを使って風味を付けたビールがあるが、これを日本に輸入すると「ビール」でなく「発泡酒」と表示しなければならず、発泡酒でも麦芽比率が50%以上ならビールと同じ税率のため、欧州連合(EU)が強く反発しているという背景がある。日本でも同様の商品開発が出始めており、財務省は、ビールの麦芽比率の引き下げや、使ってもよい原料を増やすことなどを検討する。製品開発の自由度が広がれば、新たな製品を生むなど市場の拡大・活性化を見込める道理で、税額統一の「見返り」との位置づけも見え隠れする。

   税額統一は2年前から政府・与党税調などで議論されてきたが、メーカーなどとの調整が難航したほか、安い第三のビールなどの増税は2016年7月の参院選に影響するとの懸念もあり、今まで先送りされてきた。また、2017年4月の消費税率10%への引き上げが2年半延期されたことから、2017年度税制改正での税額統一の議論が進めやすくなっている面がある。

   ただ、年末の2017年度税制改正大綱をまとめるまでにはメーカー側の巻き返しも予想され、スンナリ決まるかはまだ見通せない。

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