一眼レフカメラの「動体予測」機能
ネットユーザーの間で盛んに囁かれた疑問とは、時速200キロで走っていたという新幹線を「どのように撮影したのか」というもの。ツイッターやネット掲示板には、
「高速走行中の新幹線の運転台なんてどうやって撮ったんだ」
「どうやってあんな写真撮ったの?ってのが一番の疑問」
「走行中の正面の写真、誰がどうやって撮ったワケ?」
といった書き込みが数多くみつかる。
実際のところ、高速走行している新幹線を撮影するには、高度な技術や特別な機材が求められるのだろうか。J-CASTニュースは、複数のプロカメラマンに今回の「足上げ写真」について聞いた。
日本写真芸術専門学校の主任講師で写真家の林憲治氏(67)は、「現行の一眼レフカメラを用いれば、誰でも撮れる写真だと思います」と話す。現行機種の多くは「動体予測」と呼ばれる機能を搭載しており、高速で移動する物体にも自動でピントを合わせることができるという。
プロカメラマンの阿部稔哉氏(51)も、「少しカメラの知識があれば、撮影すること自体は簡単でしょう」という。シャッタースピードについて聞くと、「新幹線なら1000分の1秒か、500分の1秒くらいで撮れるのではないか」という。現行の一眼レフカメラでは、最低でも4000分の1秒には対応しているとも付け加えた。
ツイッターに写真を投稿したユーザーに対しては、10社以上のマスコミから取材依頼のリプライ(返答)が相次いだが、同ユーザーは8日夜に、
「私は子供の頃から新幹線が好きで、新幹線を撮影することが好きなだけです(中略)一切取材を受けるつもりはありません」
とツイートしている。ただ、同一人物と思われるインスタグラムのプロフィール欄には、使用機材についての記述があり、それによるとプロのカメラマンも使用する「EOS-1D Mark III」という高価なカメラを使っていることが分かる。
阿部氏は「写真の構図がしっかりしているので、撮影したのは専門的な列車撮影技術を持った人ではないか」との賛辞も送った。その上で、高速走行する新幹線の窓の中を動画や肉眼で確認するのは難しいとして、
「今回の一件は、一瞬を切り取って伝える『写真』というメディアの特性が十分発揮されたものでしょう」
と話していた。