情報発信は「相手に与える印象」が大事 
AKB48・岩立沙穂さんと千葉大・藤川教授が語る「スマホ問題」(上)

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   「会いに行けるアイドル」として知られるAKB48のメンバーは、SNSなどネット上でのファンとの交流も多い。複数のSNSで情報発信するメンバーがほとんどで、「スマホ依存」気味なメンバーも少なくない。「炎上」に見舞われたり、自らの個人情報をネット上に書き込まれたりする大小のトラブルと隣り合わせでもある。

   そうした中で、2016年8月末に出版された「実践! スマホ修行」(学事出版)では、メディアリテラシー教育などが専門の藤川大祐(ふじかわ・だいすけ)千葉大学教育学部教授とAKB48のメンバー6人が、こういった経験について熱い議論を交わしている。この議論を踏まえながら、AKB48メンバーの岩立沙穂(いわたて・さほ)さん(21)と藤川さんが、スマホ活用のあり方について、3回にわたって話し合った。

  • 千葉大学教育学部教授の藤川大祐さん(右)とAKB48の岩立沙穂さん(左)がスマホの問題について話し合った
    千葉大学教育学部教授の藤川大祐さん(右)とAKB48の岩立沙穂さん(左)がスマホの問題について話し合った
  • スマホとの付き合い方について話すAKB48の岩立沙穂さん
    スマホとの付き合い方について話すAKB48の岩立沙穂さん
  • 千葉大学教育学部教授の藤川大祐さん(右)とAKB48の岩立沙穂さん(左)がスマホの問題について話し合った
  • スマホとの付き合い方について話すAKB48の岩立沙穂さん

イナゴ料理入り弁当の写真載せると「貧乏」説が...

   ――書籍では8つある章ごとにひとつのテーマを取り上げており、第1章では「炎上」にフォーカスしています。岩立さんの同期の村山彩希(むらやま・ゆいり)さん(19)は、SNSに面白半分で「年下の男の子にナンパされました」と書いて「炎上」したエピソードを披露しています。岩立さんは「炎上」したことはありますか?

岩立:「炎上」というほどではありませんが、自分が思っていたのとは違った方向にとらえられることは多々あります。母が作ってくれたイナゴ料理入りのお弁当の写真を載せると、「貧乏なんじゃないか」という説が立ったことはあります。たくましい想像力をお持ちの方がすごく多いと思いました。
藤川: まあ、ファンは想像したいですよね。
岩立: それは分かりますが、自分がされてうれしい想像と、「嫌だな」と思う想像がある。SNSのコメント欄を見ていても、「違うぞ」と思うことがあります。私が書いていることを読んでいないのか、矛盾したことを言っているコメントもあります。例えば「今日の夜ご飯は●●でした」と書いたのに、「今日の夜ご飯なーに?」と書き込まれる。「あれっ?」と不思議なことが多々ありますね。

ジョッキに入ったウーロン茶はお酒と誤解される

藤川: 書籍では、炎上しないためのノウハウ、気をつけていることも披露していただきました。例えば、打ち上げの席では写真に映り込むものに気をつけるそうですね。ウーロン茶がお酒と誤解されるケースにも触れていました。
岩立: お店によってはジョッキで飲み物が出されることがあります。それがお酒と勘違いされると困ります。私が所属する「チーム4」は未成年のメンバーが大半なので、特に気を遣います。アイドルはイメージで印象が大きく変わってしまうので、こういった写真は、ファンの方にとっては、多分うれしくない情報だと思います。中にはそういうキャラを前面に出す人もいるかも知れませんが、自分はそうではありません。
藤川: 飲食店以外で「映り込み」に気をつけているものはありますか?
岩立: 町中で「自撮り」したら、背景に色々な人が映り込みます。私だったら、私が映り込んだ写真がネット上に流れるのは嫌なんです。町中で自撮り棒を持っている人は多いですが、どこでも構わず撮りますよね。私は、基本的には壁を背景にして撮って欲しいです。アトラクションなどの列に並んでいるときに、自撮りしようとする人は多いですが、自分たちの思い出として残したいので、後ろで何が起きようと気にしていない。それが怖いですね。メンバーでも、楽屋で撮っていたら着替えの様子が映り込んで、たまにネット上に上がってしまうことがあります。そういう点も気にしないといけません。

発信する前に、1回立ち止まって考える

藤川: 前半(第1~4章)では、岩立さんをはじめとする13期生(2011年加入)3人に話し合ってもらい、とくに第2~4章では、いじめ、出会い系犯罪、恋愛事情をテーマにしています。
岩立: 話すときの言葉も、日常生活でもそうですが、相手に与える印象があると思います。思ったままに発言すればいい時もあるかも知れませんが、それが悪く出るときもある。時と場合によりますよね。
藤川: おそらく、ネットで発信するときにも、その「ちょっとした慎重さ」のようなものが大事だと思います。
岩立: 楽しい時に楽しい気持ちだけで載せてしまった写真が違法だったりして、後々問題になって就職に響くケースも聞きます。1回立ち止まって考えることは大事だと思います。ネットが簡単なものになりすぎて、軽い気持ちで使っている人もいると思います。普段は友達と共有するツールでも、それは多くの眼に触れるものでもあります。そこをひとつ、頭の中に入れておくべきところだと思います。
藤川: 恋愛に関する議論では、岩立さんは「女の子を守らないといけない」という点を前提にしながら、その人や交際相手のことを考えないといけない、という方向で話をしていて、バランスが取れていると思いました。

藤川大祐さん プロフィール
ふじかわ・だいすけ 1965年東京生まれ。 東京大学大学院教育学研究科博士課程単位取得満期退学(教育学修士)。 千葉大学教育学部教授(教育方法学・授業実践開発)兼・副学部長。 メディアリテラシー、 ディベート、 環境、 数学、 アーティストとの連携授業、 企業との連携授業等、 さまざまな分野の新しい授業づくりに取り組む。学級経営やいじめに関しても研究。

岩立沙穂さん プロフィール
いわたて・さほ 1994年生まれ、神奈川県出身。愛称は「さっほー」。2011年12月、AKB48の13期研究生として劇場デビュー。AKB48の活動と並行して短期大学を卒業。同期の中ではお姉さん的存在だが、「ぶりっこ」キャラとも言われる。13年9月に正規メンバーに昇格し、現在は高橋朱里チーム4に所属。16年9月にはリーディングシアター「恋工場」、10月には音楽劇「赤毛のアン」に出演予定。

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