日本人は昔から玄米を主食にしてきた。NHK大河ドラマ「真田丸」でおなじみの真田昌幸・信繁親子や徳川家康、加藤清正ら戦国武将は、1日に5合も玄米をモリモリ食べ、戦場を駆け回っていたといわれる。
白米に比べ、たっぷりの食物繊維とポリフェノール(植物由来成分)、鉄やカルシウム、マグネシウムなどのミネラル、そしてビタミンB1、B2、B6、Eも豊富な「栄養の宝庫」だったからだ。
「食べるなら白色より茶褐色が健康によい」
「食べるなら白より茶・黒色がいい」と、よく健康の世界ではいわれる。「白米より玄米」「白い小麦パンより全粒粉パン、ライ麦パン」「白砂糖より黒砂糖、キビ砂糖」といった具合に色の濃い方が栄養はあるからだ。特に、米ぬかにはコメの栄養の80%が詰まっており、玄米はそれを全部残している。
近年、玄米を含む全粒穀物(精製されていない米・麦・ソバ類など)がいかに健康によいかを示す研究が相次いで発表された。2016年5月以降だけでもこれだけある(カッコ内は研究機関)。
(1)米国、英国、北欧諸国の計80万人の調査で、全粒穀物を1日に3皿分以上食べる人は、それ以下の人に比べ、心疾患や脳卒中で死ぬリスクが25%少なく、がんによる死亡リスクも15%減った(2016年6月、米ハーバード大学)。
(2)中国の81万6000人の調査で、全粒穀物を1日あたり3食分増やすごとに総死亡リスク(事故を含むあらゆる死因)が19%、心血管疾患が26%、がんが9%低下した(2016年5月、上海交通大学)。
(3)全世界の45件の研究を総合した結果、1日あたり90グラム分の全粒穀物を食べると、食べない人に比べ、総死亡リスクが17%、心血管疾患が22%、がんが15%、呼吸器疾患が22%、感染症が26%、糖尿病が51%低下した(2016年6月、英ロンドン大学)。
なぜ、これほど玄米をはじめとする全粒粉穀物に健康効果があるのだろうか。それは、穀物の外皮や胚に含まれている食物繊維やミネラルが中性脂肪を減らし、血糖値を下げるからだ。そのため、心臓病や脳卒中、糖尿病などの生活習慣病を減らす効果がある。また、ポリフェノールやビタミン類には抗酸化作用があり、がん細胞の増殖を抑える働きが期待できる。