天皇陛下がビデオメッセージで退位の意向を強く示唆したことを受け、皇室典範の改正をめぐる議論が本格化しそうだ。女性天皇や女系天皇を認めるべきだとの指摘も出始めている。
そんな中、小泉純一郎元首相は2016年9月7日、東京・有楽町の日本外国特派員協会で会見し、首相当時の経験も紹介しながら「この議論はしない方がいい」として、悠仁(ひさひと)さま(10)が皇位継承者として決まっている以上、女性天皇や女系天皇について検討すべきではないとの立場を示した。
「天皇の譲位と女系天皇は別の問題」
小泉氏は、皇位を継承する男子がいないことに危機感を持ち、首相在任時の2005年11月に「皇室典範に関する有識者会議」を設置。有識者会議は女性天皇や女系天皇を認めるべきだとする最終報告書をまとめたが、06年9月に悠仁さまが誕生したことで、議論が中断していた。
小泉氏は会見で、当分は「皇室に男の子は生まれないという前提」で有識者会議の議論がスタートしたものの、
「男の子、将来天皇の地位を継がれる方が生まれたからには、当分は女系天皇ではなくて、その方が天皇になるわけだから、この話は打ち切る(ことになった)」
などと説明。その上で、
「だから、愛子さまが健やかで元気でおられる。そして、ユウジンさま(編注:悠仁さまのことを指しているとみられる)、男の子が生まれているときに、この議論はしない方がいい。男の子として継ぐ方がおられる限りは、そういう女性の天皇を考える必要はない状況になった」
などとして、女性天皇や女系天皇に関する議論はすべきではないとした。
これに加えて、
「今、天皇陛下の譲位の問題が出ている。これと女系天皇は別にした方がいい。一緒に論ずるもんじゃない。譲位があるんだったら、譲位のことだけを論じたらいい。これと女系天皇がどうか、ということになると、ますますややこしくなる」
とも述べたが、退位そのものの是非については言及しなかった。