10人に1人が「芸能人のスベリ」を見ていられない
例として、学園ドラマで授業中に居眠りをして先生に呼ばれ、寝ぼけて変なことを言ったり、ドラマ「裸の大将」の主人公が失敗を繰り返したりするシーンを微笑ましく見ることができないケースをあげた。番組で500人にアンケートを行ない、「こうした経験があるかどうか」を聞くと、「経験あり」が10.4%、「経験なし」が89.6%だった。10人に1人の割合でいるわけだ。
ちなみに番組では触れなかったが、「共感性羞恥」(共感的羞恥とも言う)は「empathic(感情移入できる)embarrassment(きまり悪さ)」の直訳だ。2011年4月、米科学誌「プロスワン」に英のベルファスト大学とクイーンズ大学の合同チームが「あなたの傷は私の痛み」と題する研究論文を発表している。
研究チームは、619人の男女に、ズボンの後ろポケットからトイレットペーパーがはみ出たまま繁華街を歩く、演説の最中に台から滑り落ち泥の中に顔を突っ込む、などの恥ずかしい映像を見せ、「面白いと思うか」「気の毒に思うか」と感想を聞いた。そして、いたたまれなくなるほど恥ずかしくなる感情が強い人たちを選び、改めて別の恥ずかしいシーンの映像を見せ、核磁気共鳴画像法(MRI)で脳の働きを調べた。
すると、恥ずかしい目にあった人への共感が強い人ほど脳の情感をつかさどる部分が活性化した。この部分は自分が失敗した時にも強く反応する部分だ。たとえ、フィクションの映像とはいえ、共感のあまり、堪えられないほど心の痛みを感じてしまうタイプの人がいることを確認し、この感情を「empathic embarrassment」(共感性羞恥)と名付けた。